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【1日3分間のメンタル強化法 第44回】苦境に立った時の“心”の選択――「諦めるか」「踏みこたえるか」で未来が変わる<SMASH>

スマッシュ編集部

2025.06.28

苦しい時に踏みこたえることで、人はさらに大きく成長できる。たとえ失敗して“やり直し”がきかなくても、“出直し”は何度でもできる(※写真はイメージ)。(C)Getty Images

 テニス競技はメンタルによって大きく結果が左右されるスポーツです。しかし、メンタルを強化したいけれど「なんか大変そうだ」と敬遠している人はいないでしょうか。

 本シリーズでは一般プレーヤーに向けて、伊達公子氏や浅越しのぶ氏といった日本テニス界をけん引したトップ選手の指導経験を持つメンタルアドバイザー椙棟紀男氏に、簡単に身に付くメンタルの強化方法を伝授してもらいます。

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 順風満帆な人生を送ることは、たやすいことではありません。今までもこれからも、幾多の試練が待ち受けています。私たちは「諦めたらそこで終わり、踏みこたえることで、夢の扉が少しだけ開く」ということを経験則で知っています。

 皆さんも経験はありませんか?

「あの時、辞めなくてよかった。だから今の僕がいる」。逆に「弱い自分がいて、続けられなかったことを今でも後悔している」。長い人生、やり直しはできないけれど、出直しは何度でもできます。できれば決めたことは最後までやり通したいものです。

「目標」をハッキリとさせ「やる事リスト」を作成して「努力と根性」でやり通す。そして、時々「全体観」を持って自分を振り返り、達成の喜びをみんなで分かち合えたら素敵です。しかし、残念ながら「目標達成」ができなかったら、次の「目標」に向かって出直せばいいのです。
 
 ここに愛知県T高校野球部の女子マネージャーが、夏の大会前に部員たちに贈った渾身のメッセージがあります。とても素晴らしい文章ですので、皆さんに紹介します。

「試合には流れがある。流れのキッカケは小さく、結果は大きい。流れは決して無神経ではなく、試練に対する選手の在り方を、厳しく、優しく、時にいたずらっぽく見つめているのだ。

 それにしても『諦める』と『踏みこたえる』の差はどこにあったのか? 一瞬でも"もうダメだ"と思うと力は萎え、運は逃げ、夢を追った時間までもが虚しいものになってしまう。

 しかし、まだまだ踏みこたえたら、いつの間にか力が蘇り、運がこちらを向き、あの厳しかった練習までもが貴重なものに思えてくる。『諦める』と『踏みこたえる』は心の中に引いた一線で、越えるのはたやすく、耐えるのはきつい。耐えた方が最後の最後に笑うのだ。耐えた、待った、粘った、勝利の女神から目を逸らさなかった。そして生き返った。大きく強くなって最後に笑った」

 皆さんはどう感じましたか?

構成●スマッシュ編集部
※スマッシュ2024年4月号から抜粋・再編集

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