男子テニス世界ランキング1位のヤニック・シナー(イタリア)が、今シーズン3つ目の四大大会「ウインブルドン」(6月30日~7月13日/イギリス・ロンドン/芝コート)の開幕を目前に控える中、大胆な決断を下した。昨年後半にチームに招聘したフィットネストレーナーのマルコ・パニチ氏と理学療法士のウリセス・バディオ氏との契約を終了したのだ。
既報の通り、シナーは波紋を広げた自身のドーピング問題を受け、トレーナーのウンベルト・フェラーラ氏と理学療法士のジャコモ・ナルディ氏を昨年8月末に解雇。同9月に元世界王者のノバク・ジョコビッチ(セルビア/現6位)と仕事をした実績を持つパニチ氏とバディオ氏をチームに迎え入れ、今年1月の全豪オープンを含む計3大会でタイトルを獲得していた。
三者の離別が決定したのは、シナーがアレクサンダー・ブブリク(カザフスタン/現30位)に敗れて2回戦敗退となった「テラ・ウォルトマン・オープン」(6月16日~22日/ドイツ・ハーレ/芝/ATP500)の直後だったという。現地28日に開かれたウインブルドンのメディアデーでシナーは次のように語っている。
「2人と離別したのは少し前のことで、プレーには特に影響はない。僕自身はウインブルドンでの試合に臨む準備はできている。今は自由な気持ちでいるし、チームと共にベストを尽くす準備が整っていると感じている」
グランドスラム開幕前のこのタイミングで別々の道を歩むことになった経緯は明かさなかったシナーだが、パニチ氏とバディオ氏への感謝を交えてこう続けた。
「僕がここにいる理由は、良いテニスをするためで、それが最大の目標だ。これまで一緒に素晴らしい成果を上げてきたから、2人には本当に感謝しているし、彼らは素晴らしい仕事をしてくれた。僕が新しいことをしたいと思っただけのことで、僕らの間で何か“とんでもないこと”が起きたわけではない」
『UBITENNIS』など複数の海外メディアによると、同28日にウインブルドンでメディアの取材に応じたジョコビッチは今回のシナーの決断に「驚いた」そうだが、自身の過去の経験から一定の理解も示している。ちなみにパニチ氏は2017年から昨年5月までジョコビッチのチームメンバーとして活動。一方のバディオ氏は約5年以上の期間を経て、22年末にジョコビッチ陣営を離れていた。
「ここ1年半くらいでヤニック(シナー)のプレーや身体の仕上がりは目覚ましく、あの2人はその中心的な存在だったと思う。ただ変化というのはいずれ起こるものだ。僕自身もこれまで何度もチーム編成を変えてきたからわかるが、単純に考え方が合わなくなることもある。そうなったら、別れるしかない。ヤニック自身が何か新しいことを求めているのかもしれないね」
チームの再編は成長のチャンスでもある。新たな道を選んだシナーが、王者としての真価を聖地ウインブルドンでどう示すのか。勝負の2週間が始まる。
文●中村光佑
【連続写真】軸がブレないシナーのフォアハンドのカウンターショット「30コマの超連続写真」
【関連記事】全米優勝シナーが新メンバー2名をチームに招聘!両者は過去ジョコビッチ陣営にいた実績を持つサポートスタッフ<SMASH>
【関連記事】世界1位シナーのドーピング問題を受け、解雇された理学療法士が別れを告げる「もう一緒にいられないと思うとつらい」<SMASH>
既報の通り、シナーは波紋を広げた自身のドーピング問題を受け、トレーナーのウンベルト・フェラーラ氏と理学療法士のジャコモ・ナルディ氏を昨年8月末に解雇。同9月に元世界王者のノバク・ジョコビッチ(セルビア/現6位)と仕事をした実績を持つパニチ氏とバディオ氏をチームに迎え入れ、今年1月の全豪オープンを含む計3大会でタイトルを獲得していた。
三者の離別が決定したのは、シナーがアレクサンダー・ブブリク(カザフスタン/現30位)に敗れて2回戦敗退となった「テラ・ウォルトマン・オープン」(6月16日~22日/ドイツ・ハーレ/芝/ATP500)の直後だったという。現地28日に開かれたウインブルドンのメディアデーでシナーは次のように語っている。
「2人と離別したのは少し前のことで、プレーには特に影響はない。僕自身はウインブルドンでの試合に臨む準備はできている。今は自由な気持ちでいるし、チームと共にベストを尽くす準備が整っていると感じている」
グランドスラム開幕前のこのタイミングで別々の道を歩むことになった経緯は明かさなかったシナーだが、パニチ氏とバディオ氏への感謝を交えてこう続けた。
「僕がここにいる理由は、良いテニスをするためで、それが最大の目標だ。これまで一緒に素晴らしい成果を上げてきたから、2人には本当に感謝しているし、彼らは素晴らしい仕事をしてくれた。僕が新しいことをしたいと思っただけのことで、僕らの間で何か“とんでもないこと”が起きたわけではない」
『UBITENNIS』など複数の海外メディアによると、同28日にウインブルドンでメディアの取材に応じたジョコビッチは今回のシナーの決断に「驚いた」そうだが、自身の過去の経験から一定の理解も示している。ちなみにパニチ氏は2017年から昨年5月までジョコビッチのチームメンバーとして活動。一方のバディオ氏は約5年以上の期間を経て、22年末にジョコビッチ陣営を離れていた。
「ここ1年半くらいでヤニック(シナー)のプレーや身体の仕上がりは目覚ましく、あの2人はその中心的な存在だったと思う。ただ変化というのはいずれ起こるものだ。僕自身もこれまで何度もチーム編成を変えてきたからわかるが、単純に考え方が合わなくなることもある。そうなったら、別れるしかない。ヤニック自身が何か新しいことを求めているのかもしれないね」
チームの再編は成長のチャンスでもある。新たな道を選んだシナーが、王者としての真価を聖地ウインブルドンでどう示すのか。勝負の2週間が始まる。
文●中村光佑
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