自由奔放な言動で高い人気を博す男子テニス元世界ランキング17位のアレクサンダー・ブブリク（カザフスタン／現45位）が、今週出場している男子テニスツアー公式戦「テラ・ウォルトマン・オープン」（６月16日～22日／ドイツ・ハーレ／芝コート／ATP500）でキャリア最大の勝利を挙げた。現地19日に実施された２回戦にて、ディフェンディングチャンピオンで世界１位のヤニック・シナー（イタリア）を3-6、6-3、6-4で撃破。ベスト８進出を決めた。

　両者がツアーで顔を合わせるのは今回が６度目で、過去の対戦成績はブブリクから１勝４敗。直近である「全仏オープン」準々決勝でも1-6、5-7、0-6で完敗していた。

　約２週間ぶりの再戦が実現した今回も第１セットを41分で落としたブブリク。第２セットでも序盤で３本のブレークポイントを与えるなど苦しい展開が続いた。しかしこのピンチをブブリクが凌いだあたりから流れが変わり、第６ゲームで初のブレークに成功。残りのサービスゲームを全てキープしてセットオールに持ち込んだ。

　ファイナルセットでもアグレッシブに攻め続けたブブリクは、第７ゲームでシナーのサービスをブレーク。代名詞のアンダーサービスでもポイントを奪うなど主導権を掌握し、２時間２分で鮮やかな逆転勝ちを収めた。
  　この試合でブブリクは計36本ものウィナーと15本のサービスエースをマーク。これまでに四大大会３勝を誇る若き王者を力でねじ伏せ、キャリア４度目の対トップ10勝利を挙げた。

　ただし世界１位に勝利したのは今回が初めて。それだけにブブリクは「今回の勝利は特別。これは大きな勲章だ」と喜びをあらわにする。続けて試合内容を振り返りつつ、次のように満足感を示した。

「とにかくサービスで押し切ろうとした。重要な場面では集中したし、返せるボールは全部返そうとした。シナーは信じられないほどの選手だから、正直勝てるとは思っていなかったが、チャンスがいくつかあって、それらをうまくものにできた。全仏オープンの時よりは良い試合展開だったし、攻め続けたのがうまくいった」

　一方、昨年の「テラ・ウォルトマン・オープン」でキャリア初となる芝でのタイトルを獲得してからほぼ負け知らずの活躍を続けてきたシナーは、2023年８月以降、トップ20圏外の選手に66連勝中だったが、その記録がついにストップ。同時に23年８月の「カナダ・マスターズ」（モントリオール／ハード／ATP1000）から続いていたツアー決勝連続進出記録も途絶えることとなった。

文●中村光佑

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