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海外テニス

愛娘の誕生日に白星をプレゼント!“焦りやパニック”を克服し大坂なおみがウインブルドン3回戦へ<SMASH>

内田暁

2025.07.03

ウインブルドン2回戦でシニアコワにストレート勝ちを収めた大坂。娘・シャイちゃんの誕生日を白星で飾った。(C)Getty Images

ウインブルドン2回戦でシニアコワにストレート勝ちを収めた大坂。娘・シャイちゃんの誕生日を白星で飾った。(C)Getty Images

 大坂なおみ(世界ランキング56位)が会見室に現れたのは、試合終了から、30分も経っていない時分だった。通常よりいささか足早に“ノルマ”を終えたかったのには、理由がある。

「今日はシャイの誕生日。7時45分までには帰りたいって思っていたんだけれど……」

 少し押し気味のスケジュールに、思わず本音と苦笑がこぼれる。テニスの四大大会「ウインブルドン」2回戦が行なわれた7月2日は、愛娘の2歳の誕生日だったのだ。

 今日が特別な日であることは、試合中も彼女の脳裏をよぎったという。ただ、ことプレー内容に関しては、彼女は一切焦ってはいなかった。むしろ試合に挑む際に、心掛けたのは、攻め急がないことだったという。対戦相手のカテリナ・シニアコワ(チェコ/同81位)は、スライスやショートボールも操りながら、相手のリズムをかき乱すのが得意なタイプ。両者最後の対戦である6年前の全仏オープンでは、相手の術中にはまり敗れたほろ苦い記憶も、大坂にはある。

 その経験も踏まえてだろう。「今日の課題は、終始気持ちを落ち着かせること。そして、走るべき時は走ることを覚悟していた」と大坂は言う。

「パニックにならず、我武者羅に打ったり、ウイナーを狙いすぎない。彼女の出方を見て、良いコースに打つことに注力した」
 
 果たして彼女は、その策を完遂した。第1セットは、ブレークした直後にブレークを許すも、慌てず騒がず、冷静にプレーを続ける。長いラリー戦にも腰を据えて挑めたのは、芝への慣れも大きい。若い頃は「怖いもの知らず」だったがゆえに、奔放に走っていた。

 一定の年齢に達すると、恐れが身体と心にブレーキをかけ、ゆえに焦りやパニックにも陥った。その恐れも克服し、今は「芝の上で翼を広げられるようになった」と言う。その翼で時に滑空し、旋回し、機を見て獲物へと急降下する。

 ウイナーの数は12対12で、互角。だがエラーは25対37で相手を下回る。打ち合いが5回を超えるロングラリーでのポイント獲得は、19対14で大坂が上回った。スコアは6-3、6-2。1時間17分のスピード勝利を手に入れた。

 ウインブルドンでの3回戦進出は、キャリア最高に並ぶ戦績で、産後最高。ただ大坂は、「1試合ずつ集中し、ラウンドは気にしないようにしている」と断言する。

 焦らぬことが、結果的に最速の道となる――。その証の白星を娘への誕生日プレゼントとし、一歩ずつ先へと進む。

現地取材・文●内田暁

【動画】大坂がシニアコワにストレートで勝利した「ウインブルドン2025」2回戦ハイライト

【画像】大坂なおみをはじめ、2025ウインブルドンを戦う女子トップ選手たちの厳選フォト

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