男子テニス元世界ランキング2位のゴラン・イバニセビッチ氏(クロアチア/53歳)が海外メディア『SportsKlub』の取材に応じ、今年6月からコーチとして指導している26歳のステファノス・チチパス(ギリシャ/元3位/現26位)を苦言を呈した。
これまでにツアー12勝を挙げ、2019年には年間成績で上位8名だけが出場できるシーズン最終戦「ATPファイナルズ」を制すなど若くから活躍してきたチチパスだが、ここ最近は低空飛行が続いている。
今季も2月の「ドバイ選手権」(UAE)でATP500初優勝を飾って以降はどこか振るわず、現在開催中の四大大会「ウインブルドン」(イギリス/6月30日~7月13日)もバランタン・ロワイエ(フランス/同113位)との1回戦を背中の負傷により途中棄権。その後の記者会見でチチパスは「ずっと痛めている背中の状態はこれまでで最も厳しい状況で、現役引退も頭をよぎり始めている」と苦悩を吐露していた。
だが、イバニセビッチ氏はそんな26歳に全く同情せず、非常に厳しい言葉を口にした。
「彼とは何度も話をしているし、テニス以外の部分でいくつかの問題を解決できれば、再びトップ10に戻れるだけの力を持っているが、それができなければチャンスはない。僕の役目は技術的な問題を直すことで、それ自体は最も簡単な仕事だ。だが、それ以外の問題は彼自身が解決しなければならない」
ここで言及されたチチパスの「テニス以外の問題」が具体的に何を指しているのかは不明だが、昨年8月に幼少から指導を受けてきた父親のアポストロス氏とのコーチ契約を解消したことや、最近囁かれているパウラ・バドサ(スペイン/女子元2位/現9位)との破局説などが考えられる。ただし、後者については本人たちからの正式な発表はまだない。
中でもイバニセビッチ氏が問題視しているのが、チチパスの“フィジカルコンディション”だ。同氏はこう続ける。
「彼に“やる気”はある。でも実際に改善のために何かしているかというと、何もしていない。“こうしたい、ああしたい”と言うばかりで、実際の進歩は見られない。背中の問題も、本来は自分で解決策を見出さなければならない。正直、僕は彼の現状にショックを受けている。あんなに準備不足な選手は人生で初めて見たよ」
「53歳という年齢で、しかもヒザの問題を抱えている自分の方が、彼よりも3倍は状態が良い。過去1年で彼が何をしていたのかは正直わからないが、今の彼のコンディションは非常に悪い」
あまりにも率直すぎる物言いだが、裏を返せばそれだけチチパスに期待しているということだろう。名将の厳しい言葉を“叱咤激励”として真摯に受け止め、再起のきっかけをつかめるか。今後のチチパスの歩みに注目しよう。
文●中村光佑
【画像】チチパスはじめ、2025ウインブルドンを戦う男子トップ選手たちの厳選フォト
【関連記事】ウインブルドン初戦で途中棄権のチチパスが苦悩を吐露「このままなら競技を続ける意味はない」と引退の可能性も示唆<SMASH>
【関連記事】新コーチのイバニセビッチがチチパスに期待!ポテンシャルを称賛し「今は“切れ味”を取り戻す段階にいる」と明かす<SMASH>
これまでにツアー12勝を挙げ、2019年には年間成績で上位8名だけが出場できるシーズン最終戦「ATPファイナルズ」を制すなど若くから活躍してきたチチパスだが、ここ最近は低空飛行が続いている。
今季も2月の「ドバイ選手権」(UAE)でATP500初優勝を飾って以降はどこか振るわず、現在開催中の四大大会「ウインブルドン」(イギリス/6月30日~7月13日)もバランタン・ロワイエ(フランス/同113位)との1回戦を背中の負傷により途中棄権。その後の記者会見でチチパスは「ずっと痛めている背中の状態はこれまでで最も厳しい状況で、現役引退も頭をよぎり始めている」と苦悩を吐露していた。
だが、イバニセビッチ氏はそんな26歳に全く同情せず、非常に厳しい言葉を口にした。
「彼とは何度も話をしているし、テニス以外の部分でいくつかの問題を解決できれば、再びトップ10に戻れるだけの力を持っているが、それができなければチャンスはない。僕の役目は技術的な問題を直すことで、それ自体は最も簡単な仕事だ。だが、それ以外の問題は彼自身が解決しなければならない」
ここで言及されたチチパスの「テニス以外の問題」が具体的に何を指しているのかは不明だが、昨年8月に幼少から指導を受けてきた父親のアポストロス氏とのコーチ契約を解消したことや、最近囁かれているパウラ・バドサ(スペイン/女子元2位/現9位)との破局説などが考えられる。ただし、後者については本人たちからの正式な発表はまだない。
中でもイバニセビッチ氏が問題視しているのが、チチパスの“フィジカルコンディション”だ。同氏はこう続ける。
「彼に“やる気”はある。でも実際に改善のために何かしているかというと、何もしていない。“こうしたい、ああしたい”と言うばかりで、実際の進歩は見られない。背中の問題も、本来は自分で解決策を見出さなければならない。正直、僕は彼の現状にショックを受けている。あんなに準備不足な選手は人生で初めて見たよ」
「53歳という年齢で、しかもヒザの問題を抱えている自分の方が、彼よりも3倍は状態が良い。過去1年で彼が何をしていたのかは正直わからないが、今の彼のコンディションは非常に悪い」
あまりにも率直すぎる物言いだが、裏を返せばそれだけチチパスに期待しているということだろう。名将の厳しい言葉を“叱咤激励”として真摯に受け止め、再起のきっかけをつかめるか。今後のチチパスの歩みに注目しよう。
文●中村光佑
【画像】チチパスはじめ、2025ウインブルドンを戦う男子トップ選手たちの厳選フォト
【関連記事】ウインブルドン初戦で途中棄権のチチパスが苦悩を吐露「このままなら競技を続ける意味はない」と引退の可能性も示唆<SMASH>
【関連記事】新コーチのイバニセビッチがチチパスに期待!ポテンシャルを称賛し「今は“切れ味”を取り戻す段階にいる」と明かす<SMASH>