ドーピング検査で禁止薬物が検出されたものの、2023年12月に開かれた独立裁判所で「選手本人の過失はなかった」と判断され、無罪となったダブルス世界ランキング187位の英国女子テニス選手タラ・ムーア(元複77位/32歳)。そんな彼女を、まさかの急展開が待っていた。この度テニスの不正行為を監視する第三者機関「ITIA」による控訴が認められ、逆転で4年間にわたる出場停止処分が科されることが正式に決定したのだ。
22年5月27日に採取したサンプルから禁止薬物に指定されているアナボリックステロイド(筋肉増強剤の一種)のボルデノンとナンドロロンに陽性反応を示したムーアは、約19カ月にわたりツアーに出場できず。しかしその後、独立裁判所はムーアが検体採取の数日前に摂取した肉が禁止薬物に汚染されていたと結論付け、彼女は無事昨年7月に実戦復帰を果たしていた。
ところがITIAはこの判決を不服としてスポーツ仲裁裁判所(CAS)に控訴。高濃度のナンドドロンが検出されたことに対する説明が不十分だったとしてこれが認められ、ムーアに4年間の資格停止処分を科す決定を下したとのことだ。ただし、すでに消化している19カ月の出場停止期間は差し引かれるという。
今回の決定についてITIAのCEO(最高経営責任者)を務めるカレン・ムーアハウス氏は公式声明を通じ、次のようにコメントしている。
「我々ITIAは、全ての事案を個別の事実と状況に基づいて慎重に判断しています。第一審の判断に対して控訴する基準は非常に高く、決して軽々しく決断したものではありません。今回のケースでは、独立した科学的見解により、選手はサンプルから検出された高濃度のナンドロロンについて十分な説明ができていないと結論づけられました。今回のCASの判断は、私たちの見解と一致しています」
「選手やそのサポートチームの方々の中には、この決定について疑問を持たれた方もいるかもしれませんが、判決内容を詳細に確認した上で、我々はその疑問にしっかりとお答えする所存です」
近年はドーピング違反の摘発が相次いでいるテニス界。周知の通り、トップ選手のヤニック・シナー(イタリア/男子1位)とイガ・シフィオンテク(ポーランド/女子3位)に関しては比較的軽い処分で済み、それほど大きな影響は受けなかった。
そんな中でのムーアの逆転有罪判決。知名度の差が関係しているのかは知る由もないが、選手ごとに対応や処分に大きな違いがあるだけに、テニス界に新たな波紋を広げそうだ。
文●中村光佑
【画像】タラ・ムーアが無罪判決を獲得した時に自身のXに投稿し、今もトップに固定掲示している感謝のメッセージ
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ところがITIAはこの判決を不服としてスポーツ仲裁裁判所(CAS)に控訴。高濃度のナンドドロンが検出されたことに対する説明が不十分だったとしてこれが認められ、ムーアに4年間の資格停止処分を科す決定を下したとのことだ。ただし、すでに消化している19カ月の出場停止期間は差し引かれるという。
今回の決定についてITIAのCEO(最高経営責任者)を務めるカレン・ムーアハウス氏は公式声明を通じ、次のようにコメントしている。
「我々ITIAは、全ての事案を個別の事実と状況に基づいて慎重に判断しています。第一審の判断に対して控訴する基準は非常に高く、決して軽々しく決断したものではありません。今回のケースでは、独立した科学的見解により、選手はサンプルから検出された高濃度のナンドロロンについて十分な説明ができていないと結論づけられました。今回のCASの判断は、私たちの見解と一致しています」
「選手やそのサポートチームの方々の中には、この決定について疑問を持たれた方もいるかもしれませんが、判決内容を詳細に確認した上で、我々はその疑問にしっかりとお答えする所存です」
近年はドーピング違反の摘発が相次いでいるテニス界。周知の通り、トップ選手のヤニック・シナー(イタリア/男子1位)とイガ・シフィオンテク(ポーランド/女子3位)に関しては比較的軽い処分で済み、それほど大きな影響は受けなかった。
そんな中でのムーアの逆転有罪判決。知名度の差が関係しているのかは知る由もないが、選手ごとに対応や処分に大きな違いがあるだけに、テニス界に新たな波紋を広げそうだ。
文●中村光佑
【画像】タラ・ムーアが無罪判決を獲得した時に自身のXに投稿し、今もトップに固定掲示している感謝のメッセージ
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