閉幕した「ムバダラ・シティDC・オープン」(7月21日~27日/アメリカ・ワシントンDC)の女子ダブルスで、テイラー・タウンゼント(アメリカ)がジャン・シューアイ(中国)と組んで優勝。7月28日付のWTAダブルスランキングで初めて世界1位となった。29歳にしてキャリアの頂点に立つとともに、史上初めて母親としてその地位に到達。タウンゼントは喜びの気持ちをこう表現した。
「夢のような気分ですし、間違いなくキャリアの中でもハイライトの1つです。ダブルスの試合を見るのが大好きで、特にマルチナ・ナブラチロワのプレーが好きでした。そんな素晴らしい選手たちの仲間入りをして、1位というランキングを得られたことは本当に光栄です」
息子エイダン・オーブリーを出産したのは2021年3月14日。以降、子育てとプロテニスを両立させながら、彼女は着実に頂点への道を切り拓いてきた。出産からわずか1年半後にコートに復帰すると、1年前のこの大会ではアジア・ムハンマド(アメリカ)とのペアで優勝。今季はカテリナ・シニアコワ(チェコ)と組んで「全豪オープン」(四大大会)と「ドバイ選手権」(WTA1000)を制した。いずれも母親としてつかんだ輝かしい成果だが、かつてその在り方に異議を唱えられた彼女が、プレーで応えたという揺るぎない結果でもある。
タウンゼントは16歳で全豪ジュニアを制し、ウインブルドンジュニアのダブルスでも優勝、世界ジュニア1位の座に上り詰めた逸材だった。だが、その才能と並んで人々の視線を集めたのは、彼女の体型だった。
他のエリート選手とは異なる肉付きの良さを理由に、全米テニス協会(USTA)は彼女の全米ジュニア出場を認めず、最終的には資金援助まで打ち切った。大会出場よりもフィットネス向上を命じたのは、長期的な健康とさらなる競技力を獲得させるための判断とされた。しかし、まだ子どもだった彼女は、あまりにも厳しい状況に置かれてしまった。WTA公式サイトに彼女のコメントが紹介されている。
「私は、公の場で最も過酷で、最も個人的な闘いを乗り越えてこなければなりませんでした。世界中で話題にされるようなとても繊細な話題を、子どもだった私が自ら弁護しなければならなかったのです。それが私を形作ってきました。そして、全ての過程を大切に思えるようになりました。“楽しそうにプレーしているね”と言ってもらえること、それが私にとっての勝利なんです」
母として世界1位となったタウンゼントの歩みは、女子アスリートの新たな在り方を示した。そして“理想的”とされる体型にとらわれずプレーを続けてきたことも、多様なアスリート像を後押しする象徴となっている。
「これは夢のようです。自分が本当に達成できるかもしれないと思い始めた時に掲げた目標の1つでした」
世界1位という勲章の重みは、記録を超えてテニス史に刻まれるだろう。
構成●スマッシュ編集部
【動画】タウンゼント/ジャン・シューアイVSドルハイド/ケニンの「ムバダラ・シティDC・オープン」決勝ハイライト
【関連記事】「私は戦い続けてきた」タウンゼントの妊娠発表ビデオがエモーショナルで、祝福と応援が相次ぐ【女子テニス】
【関連記事】「これが私たちの現実」黒人選手のタウンゼントがツアーで経験した人種差別を語る【女子テニス】
「夢のような気分ですし、間違いなくキャリアの中でもハイライトの1つです。ダブルスの試合を見るのが大好きで、特にマルチナ・ナブラチロワのプレーが好きでした。そんな素晴らしい選手たちの仲間入りをして、1位というランキングを得られたことは本当に光栄です」
息子エイダン・オーブリーを出産したのは2021年3月14日。以降、子育てとプロテニスを両立させながら、彼女は着実に頂点への道を切り拓いてきた。出産からわずか1年半後にコートに復帰すると、1年前のこの大会ではアジア・ムハンマド(アメリカ)とのペアで優勝。今季はカテリナ・シニアコワ(チェコ)と組んで「全豪オープン」(四大大会)と「ドバイ選手権」(WTA1000)を制した。いずれも母親としてつかんだ輝かしい成果だが、かつてその在り方に異議を唱えられた彼女が、プレーで応えたという揺るぎない結果でもある。
タウンゼントは16歳で全豪ジュニアを制し、ウインブルドンジュニアのダブルスでも優勝、世界ジュニア1位の座に上り詰めた逸材だった。だが、その才能と並んで人々の視線を集めたのは、彼女の体型だった。
他のエリート選手とは異なる肉付きの良さを理由に、全米テニス協会(USTA)は彼女の全米ジュニア出場を認めず、最終的には資金援助まで打ち切った。大会出場よりもフィットネス向上を命じたのは、長期的な健康とさらなる競技力を獲得させるための判断とされた。しかし、まだ子どもだった彼女は、あまりにも厳しい状況に置かれてしまった。WTA公式サイトに彼女のコメントが紹介されている。
「私は、公の場で最も過酷で、最も個人的な闘いを乗り越えてこなければなりませんでした。世界中で話題にされるようなとても繊細な話題を、子どもだった私が自ら弁護しなければならなかったのです。それが私を形作ってきました。そして、全ての過程を大切に思えるようになりました。“楽しそうにプレーしているね”と言ってもらえること、それが私にとっての勝利なんです」
母として世界1位となったタウンゼントの歩みは、女子アスリートの新たな在り方を示した。そして“理想的”とされる体型にとらわれずプレーを続けてきたことも、多様なアスリート像を後押しする象徴となっている。
「これは夢のようです。自分が本当に達成できるかもしれないと思い始めた時に掲げた目標の1つでした」
世界1位という勲章の重みは、記録を超えてテニス史に刻まれるだろう。
構成●スマッシュ編集部
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