最終セットもゲームカウント3-4のゲームで、ミスを重ねブレークを許す。
そして3-5の相手サービスゲームでは、40-0の3連続マッチポイント。
「またか……」
諦めと失望が、頭の片隅をよぎる。
同時にこの時、内島の脳裏によみがえる、幾つかの明るい光景があった。それは予選で見た、坂本怜が3連続マッチポイントを凌いだ姿。あるいは同じく予選で、マッチポイントを切り抜けた本玉真唯の試合。2週間前のモントリオールでは、大坂なおみがやはり、2本のマッチポイントから逆転勝ちした様も見た。
「みんなのそういう試合を見てきたので、あり得ると思えた。自分のプレーに集中し、最後まで力を出し切ることを意識しました」
追い詰められた時ほどに、内島のボールは鋭く、深く、コートに刺さる。本人は「マッチポイントだからといって、特にプレーを変えようとか攻めようと意識はしなかった」と言うが、「最後まで戦いきる」という決意が、ボールに伸びを与えたのだろう。この絶体絶命の窮地を、内島は5ポイント連取で切り抜ける。3ゲーム後のサービスゲームでも0-40の3連続マッチポイントに追い詰められるが、ここでもサービスとフォアを打ち抜いて、5ポイント連取の脱出劇。
運命の10ポイントタイブレークでは、7-2リードから追いつかれるも、「絶対に、10-2とかで簡単に勝つことは無いと思っていた」と振り返る。頭の片隅で響く「久しぶりに勝てるかも」の声を「邪魔だな」と思いつつも、あるがままに受け止めた。相手のダブルフォールトの幕切れは、内島が己に打ち勝った証しでもあるだろう。
次の相手はまだ決まっていないが、昨年のウインブルドン優勝者のバルボラ・クレイチコワ(チェコ/同62位)と、18歳の新星ビクトリア・エムボコ(カナダ/同23位)の勝者。どちらが来ても、強者なのは間違いない。ただ内島は、その事実も受け止めた上で、「次以降は自分らしく、のびのびとプレーしたい」と笑顔。敗戦の淵から蘇った大器は、本来の伸びやかさを取り戻したに違いない。
現地取材・文●内田暁
【画像】内島萌夏はじめ、2025全米オープンを戦う女子トップ選手たちの厳選フォト
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そして3-5の相手サービスゲームでは、40-0の3連続マッチポイント。
「またか……」
諦めと失望が、頭の片隅をよぎる。
同時にこの時、内島の脳裏によみがえる、幾つかの明るい光景があった。それは予選で見た、坂本怜が3連続マッチポイントを凌いだ姿。あるいは同じく予選で、マッチポイントを切り抜けた本玉真唯の試合。2週間前のモントリオールでは、大坂なおみがやはり、2本のマッチポイントから逆転勝ちした様も見た。
「みんなのそういう試合を見てきたので、あり得ると思えた。自分のプレーに集中し、最後まで力を出し切ることを意識しました」
追い詰められた時ほどに、内島のボールは鋭く、深く、コートに刺さる。本人は「マッチポイントだからといって、特にプレーを変えようとか攻めようと意識はしなかった」と言うが、「最後まで戦いきる」という決意が、ボールに伸びを与えたのだろう。この絶体絶命の窮地を、内島は5ポイント連取で切り抜ける。3ゲーム後のサービスゲームでも0-40の3連続マッチポイントに追い詰められるが、ここでもサービスとフォアを打ち抜いて、5ポイント連取の脱出劇。
運命の10ポイントタイブレークでは、7-2リードから追いつかれるも、「絶対に、10-2とかで簡単に勝つことは無いと思っていた」と振り返る。頭の片隅で響く「久しぶりに勝てるかも」の声を「邪魔だな」と思いつつも、あるがままに受け止めた。相手のダブルフォールトの幕切れは、内島が己に打ち勝った証しでもあるだろう。
次の相手はまだ決まっていないが、昨年のウインブルドン優勝者のバルボラ・クレイチコワ(チェコ/同62位)と、18歳の新星ビクトリア・エムボコ(カナダ/同23位)の勝者。どちらが来ても、強者なのは間違いない。ただ内島は、その事実も受け止めた上で、「次以降は自分らしく、のびのびとプレーしたい」と笑顔。敗戦の淵から蘇った大器は、本来の伸びやかさを取り戻したに違いない。
現地取材・文●内田暁
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