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海外テニス

なぜケガを抱えコートに立つのか? 完勝のアルカラスが示した「レジェンドたちと同じテーブルに付く」覚悟<SMASH>

内田暁

2025.09.28

かつてビッグ3は苦境に陥った時ほど力を発揮してみせた。アルカラスは「それが僕が目指していること」と語り、ケガを押してコートに立ち続ける。写真=滝川敏之

かつてビッグ3は苦境に陥った時ほど力を発揮してみせた。アルカラスは「それが僕が目指していること」と語り、ケガを押してコートに立ち続ける。写真=滝川敏之

 第2セットに入っても、ややぎこちない試合展開は続く。ゲームカウント3-0とリードしたアルカラスだが、サービスゲームでは、足元に刺さる相手の深いリターンの処理にてこずった。

 記者席で試合を見ていた元世界46位の松岡修造氏は、いつものアルカラスに比べるとサービスのトスや着地が乱れ、その原因はやはり左足首にあるのではと見た。

 ただ、サービスゲームに苦しみつつも、ストローク戦での圧倒的優位は変わらない。ドロップショットで相手を走らせ、ミスも巧みに誘っていく。終わってみれば、スコアは6-4、6-3。試合時間は1時間19分。完勝と呼んで、差支えないだろう。
 
 試合後のアルカラスは、「足首の不安を除けば、完璧に近い内容」と自身を評する。その「足首の不安」が顕在化したのは、やはりサービス。

「足首のテーピングに頭が行き、いつものようなスムーズな動きができなかった」ことを認めた。
 
 その手負いのアルカラスに、「私はセルビア人なので、あえて聞くのですが」と前置きした上で、1人の記者が問うた。

「ノバク・ジョコビッチは、万全ではない時ほど力を発揮することで有名です。そんな彼から、何か学べることはありますか?」

 真摯にうなずきながら質問に耳を傾けていたアルカラスが、答える。

「ノバク、ラファ(ナダル)、そしてロジャー(フェデラー)はいずれも、キャリアを通じ、ケガや問題に直面している時ほど、レベルを引き上げてきたと思う。僕は、ノバクがケガやフィジカル面で苦しんでいる時に、あり得ないプレーをし、勝利を手にする様を、幾度も目の当たりにしてきた。真のチャンピオンとは、いかなる苦境にいる時でも考え、勝利への道を見いだし、それを実践できる人だと思う。そしてそれが、僕が目指していることでもあるんだ」

 初戦でケガを負いながらも、なぜコートに立つのかという問いへの解が、恐らくはここにある。

「レジェンドたちと同じテーブルに付く」ことが、目標だと彼は言う。今大会は、その席に座る権利を得るための、1つの試練となりそうだ。

取材・文●内田暁

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