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海外テニス

絶体絶命からの逆襲!手負いのアルカラスが「ジャパンオープン」で魅せた“世界王者の証明”<SMASH>

内田暁

2025.09.27

大観衆が見守るなかで行なわれたアルカラスの日本国内初戦は波乱に満ちた一戦となった。写真:滝川敏之

大観衆が見守るなかで行なわれたアルカラスの日本国内初戦は波乱に満ちた一戦となった。写真:滝川敏之

 試合開始から、わずか20分――。

 足を引きずり、そのままコート中央に倒れる世界ランキング1位の姿に、1万人超の有明コロシアムの観客は、小さく悲鳴を上げ息を飲んだ。

 カルロス・アルカラス(スペイン)の、初来日にして、ジャパンオープンデビュー戦。完売となったプラチナチケットを手にしたファンの多くは、先の全米オープンを制し世界1位に返り咲いたばかりの22歳を見られる時を、心待ちにしていただろう。アルカラス入場時の拍手と歓声が、その事実を物語ってもいた。

 その彼が、顔に手を当て倒れたまま、立ち上がる気配すらない。対戦相手のセバスチャン・バエス(アルゼンチン/同41位)も、ネットを越えて心配そうに、アルカラスの下へと歩みよる。

 トレーナーが呼ばれるも、試合続行は不可能では……。心配と落胆が混然となる悲痛な空気が、コロシアムに垂れこめた。

 左足首にテーピングを巻いてもらったアルカラスは、靴を履き、状態を確かめるように軽く飛び跳ねる。ただその様子を見てもなお、転倒時の状況を思えば、彼が最後まで戦いきる姿を想像するのは難しかった。
 
「あれは、不運だった」と、後にアルカラスは件の場面を振り返る。

「ドロップショットを拾おうとして走り出した時に、足首に痛みを覚えた。ひねった最初の数分は、かなり悪いのではと感じた。ただ、しばらくすると痛みはましになり、ベンチまで歩いていくことができた時には、かなりホッとした」

 本人も、「続けるのは無理だ」と思った状態から、希望を抱いて戻ったコート。その最初の数ポイントは、本人もおっかなびっくり、状態を確かめるような動きではあった。

 ただ直後のサービスゲームでは、好サーブを連発して簡単にキープ。その後もサービスは好調で、動きをセーブしポイントを重ねた。

 そうしてゲームカウント4-4で迎えた、リターンゲーム。3連続ポイントを許すも、続く場面では豪快な逆クロスを打ち込み、すぐさまネットに出てボレーを沈めた。

 このプレーで彼は、動きへの自信を深めただろうか。4ポイント連取で、ブレークチャンスをつかんだ。この機は相手のサービスで凌がれるも、ストロークは従来の威力を取り戻しつつある。最後はバックのリターンで押し込み、棄権の機運から一転、第1セット終盤でブレークに成功した。
 
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