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国内テニス

“心の成長”を遂げた岡村恭香が悲願の全日本初制覇!「今できることを精一杯やろう」と攻撃を貫き清水綾乃を下す<SMASH>

渡辺隆康(スマッシュ編集部)

2025.10.11

悲願を達成し、コートにうずくまる岡村(左)。清水綾乃(右)はケガや体調不良を乗り越え、新しいテニスで決勝に進んだ。写真:滝川敏之

悲願を達成し、コートにうずくまる岡村(左)。清水綾乃(右)はケガや体調不良を乗り越え、新しいテニスで決勝に進んだ。写真:滝川敏之

 そうして迎えた清水との決勝でも、岡村は攻めに徹する。清水とは同じ神尾米コーチの下で練習する仲で、手の内はわかっている。互いに攻撃力を持ち味にする2人は、相手より先に攻めることを激しく競い合った。

 スピンの効いたフォアで広角に振り、甘いボールは破壊力のあるバックで決めるのが清水のスタイル。2018年に“オール強打”で全日本を制した清水は、その後2度のヒジの手術を経験し、「あの時とは全然違うテニス。今の方が頭を使っている」と言うように、組み立てを考えて武器のバックにつなげるプレーをする。

 岡村もそれは百も承知。「相手のバックの方に中途半端に返球すると展開を作るのが難しくなる。私はフォアで攻撃したかったので、その展開にどう持っていくか考えてやった」

 第1セットは岡村の攻撃力がわずかに上回り、タイブレークを7-2で奪う。第2セットは清水の攻めが冴えて岡村にミスが増え3-6。岡村のフォアと清水のバックが火花を散らしてウイナーを奪い合い、どちらも引かない。
 
 そして全てが懸かったファイナルセット、これまでの岡村なら硬くなりそうなところだが、この日の彼女は心の中にある種の達観があった。「うまくいかない自分を受け入れながら、リードされても想定内、自分はもっとできるではなくこれが自分、今できることを精一杯やろう」と思うことができた。

 ブレーク合戦となったファイナルは「少しだけ自分の形を作れることが多かった」と言う岡村が、最後までフォアを振り切って叩き、要所でサービスポイントも決め、6-4で清水を振り切った。

 全日本優勝は「遠いなんてものじゃなく、本当にできると思っていなかった」と感慨深げに語った岡村は「しっかり自信に変えて、世界で活躍する選手になれるよう精進したい」と今後の飛躍を誓う。そしてケガを乗り越え、新しいスタイルでここまで戻ってきた清水も「今の本当にいいテニスができれば、あの時の位置(最高位175位)に行けると思う」と手応えを得ている。

 それぞれが素晴らしいプレーを披露し、収穫を手にした全日本女子決勝だった。

◆女子シングルス決勝の結果
○岡村恭香(橋本総業ホールディングス)[2] 7-6(2) 3-6 6-4 清水綾乃(Team LB)[5]●

取材・文●渡辺隆康(スマッシュ編集部)

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