プロテニス選手は、高度なショットをいとも簡単に叩き込む。なぜあんなボールが打てるのか? その秘訣をプロ本人に明かしてもらうシリーズ。今回は亜細亜大学出身のサウスポー、日本ランキング最高6位の松田美咲選手の最終回だ。早くリカバリーできるディフェンスフォアハンドについて教えてもらった。
* * *
高校生の頃にスピンボールが使えるようになって以降、ディフェンスは得意な方です。私は足も速くないし、予測もあまり得意ではないですが、フットワークの正確さがあるぶん、コートの中の動きに関しては速いかなと思っています。
例えば、相手に振られた時は外足でボールに入らされて、オープンスタンスになることが多いですが、打った後にその足をクロスさせて戻ると、速くリカバリーできて次につなげられます。そういった動きです。
ただし、早く戻ることにとらわれすぎるとボールが軽くなってしまうので、ちゃんと相手に打ち込まれないような力の伝え方でショットを打ち、なおかつ次につなげられるフットワークで終われるかが重要になります。学生時代のトレーニングでは、単に走るだけだと他の子より遅くても、コート内だと速く動けたりして、自分の中でフットワークがいいとはどういうことか再確認できました。
写真のフォアハンドで説明すると、早くリカバリーするポイントは、左足でオープンに入って跳びながら打ち(写真3~7コマ目)、戻りの1歩目で左足をクロスさせていますが(10コマ目)、そのクロスをなるべく大きくすることです。
それには、打ち終わりで左足を着地した際、完全に左足に乗ってしまうと戻るのに時間がかかって良くありません。着地しながら、内側にある右足の方に体重を多く乗せ、その右足を蹴ることで(8~9コマ目)、外側の左足を大きくクロスさせることができます。
意識の上では内側の足がメインで、外側の足はバランスを取るためにつくという感じです。でも、戻ることを意識しすぎると早く内側に倒れて、打つ方がおろそかになるので、打つ時は重心を真ん中に保つ(5コマ目)、そこが注意すべき点ですね。
スイングに関しては、ディフェンスだからといってただこすり上げるのではなく、しっかり厚く当てた上で、斜め上に持っていくように意識しています(5~6コマ目)。相手のボールが深いと、ラケットが上に抜けやすいですが、少しでも余裕があればニュートラルなラリーと同じスイングをしたいですね。この写真はフォアですが、足の使い方やスイングはバックでも同じです。
【プロフィール】松田美咲/まつだみさき
1998年8月21日、埼玉県生まれ。159cm、左利き。亜細亜大学でインカレ室内連覇を飾り、卒業後プロ転向。サウスポーから繰り出す強烈なトップスピンを武器とし、23年にインドW25でITF初優勝。WTAランク最高254位、国内最高6位を記録する。23年ユニバ代表、ダブルスもITF通算9勝と得意。エームサービス所属。
構成●スマッシュ編集部
※『スマッシュ』2024年3月号より再編集
【連続写真】松田美咲のランニングフォアハンドからリカバリーまで『30コマの超分解写真』
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ただし、早く戻ることにとらわれすぎるとボールが軽くなってしまうので、ちゃんと相手に打ち込まれないような力の伝え方でショットを打ち、なおかつ次につなげられるフットワークで終われるかが重要になります。学生時代のトレーニングでは、単に走るだけだと他の子より遅くても、コート内だと速く動けたりして、自分の中でフットワークがいいとはどういうことか再確認できました。
写真のフォアハンドで説明すると、早くリカバリーするポイントは、左足でオープンに入って跳びながら打ち(写真3~7コマ目)、戻りの1歩目で左足をクロスさせていますが(10コマ目)、そのクロスをなるべく大きくすることです。
それには、打ち終わりで左足を着地した際、完全に左足に乗ってしまうと戻るのに時間がかかって良くありません。着地しながら、内側にある右足の方に体重を多く乗せ、その右足を蹴ることで(8~9コマ目)、外側の左足を大きくクロスさせることができます。
意識の上では内側の足がメインで、外側の足はバランスを取るためにつくという感じです。でも、戻ることを意識しすぎると早く内側に倒れて、打つ方がおろそかになるので、打つ時は重心を真ん中に保つ(5コマ目)、そこが注意すべき点ですね。
スイングに関しては、ディフェンスだからといってただこすり上げるのではなく、しっかり厚く当てた上で、斜め上に持っていくように意識しています(5~6コマ目)。相手のボールが深いと、ラケットが上に抜けやすいですが、少しでも余裕があればニュートラルなラリーと同じスイングをしたいですね。この写真はフォアですが、足の使い方やスイングはバックでも同じです。
【プロフィール】松田美咲/まつだみさき
1998年8月21日、埼玉県生まれ。159cm、左利き。亜細亜大学でインカレ室内連覇を飾り、卒業後プロ転向。サウスポーから繰り出す強烈なトップスピンを武器とし、23年にインドW25でITF初優勝。WTAランク最高254位、国内最高6位を記録する。23年ユニバ代表、ダブルスもITF通算9勝と得意。エームサービス所属。
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※『スマッシュ』2024年3月号より再編集
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