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海外テニス

スターへの登竜門「オレンジボウル」14歳以下で優勝の岩佐綾香、海外転戦での“サバイバル”と成長の足跡<SMASH>

内田暁

2026.04.18

昨年の「エディ・ハー」シングルス14歳以下で優勝を飾った岩佐。写真提供:富士薬品セイムス ワールドチャレンジプログラム

昨年の「エディ・ハー」シングルス14歳以下で優勝を飾った岩佐。写真提供:富士薬品セイムス ワールドチャレンジプログラム

 その時の年長のルームメイトが、「ちょっと意地悪だったんですよー」と、彼女は小さく口をとがらせた。言葉もジェスチャーも通じないなか、それでも自己主張しなくては、満足に食事にすらありつけない。

「スマホのアプリで日本語を英語に訳し、音声再生で発音を聞いて、それを真似して伝えることを繰り返していました」

 ホームシックになりながらも、必死に「サバイバル」した2週間。

「あの2週間で英語もかなりできるようになったし、メンタルも強くなった。きつかったけれど、今考えればあれがあって良かったなって思います」

 異国の地に赴くことの、光と影——。その両面を彼女は10歳の時点で体感し、しなやかさと逞しさを小さな身体に備えた。

 高まった海外志向に順路が示されたのは、ニュージャージの体験から間もなくのことである。富士薬品が、世界を目指す11歳から14歳の少女たちを支援する『富士薬品セイムス ワールドチャレンジプログラム』の、サポートメンバーに選ばれたのだ。

 とはいえその道のりも、平坦ではなかった。

「サポート選手を決める選考大会の、決勝トーナメントの1回戦で負けちゃったんです」

 やや決まりが悪そうに、岩佐が打ち明ける。周囲から“優勝候補”と目される重圧と、自分への期待もあった。加えて、どうしても選ばれたいとの思いも強かったのだろう。だからこそ負けた時は、「終わった…」と深く落ち込んだという。
 
 ただサポートメンバーの選出は、大会の結果のみで決まるのではない。

「まだ選考候補に入っていると言われたので、練習や、その後の合宿で頑張りました」

 いかなる状況でも前を向き、今できることに全力を尽くす。そんな健気な姿は、選考者たちの目にも「次にトライし続ける子」として映ったという。

 かくして岩佐はサポート選手に選ばれ、海外で戦う機会は増えた。その遠征スケジュールも、いずれ世界で戦うための“順路”として、より体系的に組まれていく。

「富士薬品のサポートメンバーに入ってから、スケジュールなど、流れが大きく変わった」と岩佐は言う。その流れに乗り、彼女は急激に力をつけた。富士薬品サポートメンバーとしての初の海外遠征先は、フロリダ。エディ・ハー大会の12歳以下に予選から出場し、本戦への切符を勝ち取った。本戦では初戦で「ボコボコにやられた」が、それも含めて良い経験になったという。

 時を同じくして、身長も劇的に伸びた。「相手との駆け引きが好き」という戦略性を身体で表現できるようになったことも、結果を残せるようになった要因だ。
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