専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
海外テニス

選手経験なしのチチパスの父親が、息子を世界6位にまで導いたコーチングポリシー【男子テニス】

東真奈美

2020.04.08

攻撃力と守備力を兼ね備えたチチパス。(C)GettyImages

攻撃力と守備力を兼ね備えたチチパス。(C)GettyImages

 その後、後に妻となるユリア(元WTAランキング194位)と2年間遠征をし、ボリス・ベッカーとステフィ・グラフが男女共に世界トップだったドイツテニス黄金期の90年代はじめに、ウィーンとベルリンでさらに3年間テニス指導を学んでいる。

 カントリークラブのコーチの仕事を受けアテネに戻ったアポストロスは、息子のステファノスが3歳の時にテニスを教え始めている。父が技術を教え、母は「常に最善を尽くしなさい」と心得を教えていた。

 このような彼の経歴が、「アスリートとしての身体を鍛え、精神を発達させ、技術も上達させないといけない。若い選手の育成には、5、6年はかかる」という考えの礎になっている。だが、実際のところ人々は、早く結果を求めて、時間とお金を十分に投資するほど忍耐強くはないそうだ。
 
 ステファノスが12歳でテニスの道に真剣に進むと選んだ後は、アポストロスは専任コーチになり、世界中のジュニア大会へ同行した。それはグレイヘアになった9年後の今日も続き、コーチングボックスから21歳の息子を導き励まし拍手を送っている。

「たくさん学んできたが、まだ少しのことしか知らないように感じている。常に心を開き、学ぶ準備をしておくことが大切だ。息子は、私にその機会を与えてくれた」とアポストロスは言う。

 結果より、まずはその過程、身体、精神、技術を優先して育てたことが、ギリシャのテニス史上前例のない業績の達成に導いたのだろう。そしてさらに学び続ける、この師弟に今後ますます注目したい。

文●東真奈美

【PHOTO】イケメン多数!テニス界の次世代を担う「期待の若手」プレーヤーたち!
 
NEXT
PAGE

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号