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海外テニス

168センチのハレップがナンバー1にまで駆け上がれた理由を、過去のインタビューから読み解く【女子テニス】

内田暁

2020.04.27

2013年は6タイトルを獲得するなど躍進の年となった。(C)Getty Images

2013年は6タイトルを獲得するなど躍進の年となった。(C)Getty Images

 ハレップはその前年の17年にも、決勝に勝ち進みエレナ・オスタペンコと対戦している。この時のハレップは圧倒的な優勝候補ながら、リミッターが壊れたかのように全てのボールを強打する20歳の規格外のプレーに自らのテニスを破壊され敗北した。

 特に、彼女の脳裏に「勝敗を分けた」悪夢的な瞬間として焼き付いているのが、ファイナルセットで飛び出した1つのショットだった。オスタペンコの強打はネットに掛かると2メートルほど上方に跳ね、ハレップのコートギリギリに落ちた場面である。

 その敗戦から、1年後。失意の記憶がそこかしこに染み込むセンターコートで、彼女は自身の幻影と対峙し、今と重ね合わせながら過去と異なる道を進むことで、優勝をつかんだと言った。第3セットの試合の趨勢を決めかねないロングラリーでは、相手のドロップショットを地面ギリギリですくい上げ、勝利を指すポイントをもぎ取る。
 
「昨年の、あの場面と似ていると思った。だから『このポイントを取れたら、今回は私が勝つ』と自分に言い聞かせた」。敗戦のターニングポイントを心に刻み、目を逸らさず向き合ってきたからこそ、次に似た局面が訪れた時、彼女は危機を勝機へと変えてみせたのだった。
 
 ハレップにインタビューをした2013年の夏は、彼女がクレーと芝の両方でツアータイトルを手にした直後でもあった。そのハレップに「最も好きなサーフェスは?」と問うと、間髪入れず次の答えが返ってきた。

「以前はクレーが一番好きだったけれど、ハードでも良い成績が残せているので自信を持ってプレーできています。今となっては、どれが一番得意というのは難しいし、全てのコートで勝てる選手を目指しています」

 それから、6年半後。彼女はハードコートで11、クレーでは全仏を含む7、芝でもウインブルドンを含む2タイトルの栄冠に輝いている。 

文●内田暁

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