専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
国内テニス

テニス選手日比万葉が『くまやん』を開設。最終的な目的は「孤児や、障がい者たちのための場所」の設立

内田暁

2020.05.17

オンラインプラットフォーム『くまやん』を立ち上げた日比。女子には珍しく片手バックハンドで打つ選手だ。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

オンラインプラットフォーム『くまやん』を立ち上げた日比。女子には珍しく片手バックハンドで打つ選手だ。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

 ただ時にふと、「こういうベストの治療やサポートを受けられるのは、お金や情報源のある人たち。でも本当に必要としているのは、ベストにリーチする手段のない人たちなのに……」との思いにも襲われた。

 そういう人たちにこそ、必要なサポートを届けることができないだろうか――?
 
 目的と手段が有機的に結びつき、そこに、新型コロナウイルスによるツアー中断という時間的猶予が与えられた時、茫漠と思い浮かべてきた「大きな夢」が、徐々に輪郭を伴い出した。もちろん、今はまだできることは限られる。テニスキャリアも、まだまだ継続していくつもりだ。

 それでも夢の実現への足がかりとして、彼女はこの5月に『くまやん』と称するオンラインプラットフォームを立ち上げた。『くまやん』の名は、語感が国や言語を問わず軽やかで馴染みやすいこと。そして、祖母が飼っていた犬の名にも由来している。

 現在、オンライン英会話教室をメインに稼働している『くまやん』の理念や活動は、大きく3つあると日比は言う。

「ひとつは、今やっている英会話教室など。いろんな人たちに、世界のどこにいても参加できて、一緒に話せるチャンスを作ることです」
 
 その発起の直接的な理由は、このコロナ禍のロックダウン下で、一週間で一言も話さない一人暮らしの方も多くいると知ったこと。そのような人々が交流できる場を作りたいとの思いから、まずは英会話教室を立ち上げた。将来的には、「施設や、病院に入院している方ともつなぎ、場所や環境を問わず交流できる場所を作りたい」とのビジョンを抱いている。

「2つ目は、まだやっていませんがセミナーをやりたいなと。夢を抱けなかったり、自分を不幸だと感じている人たちを対象に、自己肯定感を上げるようなセミナーをやりたいです」

「3つ目は、これがメインなのですが、社会貢献。今はまだ英会話クラスも無料でやっていますが、環境が整ったら有料にし、売り上げの何割かをチャリティとして寄付したいと思っています。どこに寄付するかもクラスやセミナーの冒頭に説明し、そのようなことが起きていることを多くの人に知って欲しいという思いもあります」

 新しいことを学び、自分も成長し、その結果が社会貢献になっている――。そのような仕組みを作ることが、『くまやん』の当面の目的だ。
 

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号