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海外テニス

「僕の勝利は、みんなの勝利だから」グランドスラム19勝の鉄人ナダルの背中を押す“淀みのない謙虚な心”とは【海外テニス】

中山和義

2020.05.15

「優れたテニスプレーヤーになる以前に、優れた人物になりなさい」両親の教えは今もナダルの心に深く刻まれている。(C)GettyImages

「優れたテニスプレーヤーになる以前に、優れた人物になりなさい」両親の教えは今もナダルの心に深く刻まれている。(C)GettyImages

 テニス界で長きにわたりトップランキングを維持する一流選手たち。そんな彼らが発する言葉には、テニスの上達はもちろんだが、仕事やプライベートでも役立つヒントが数多く隠されている。

 ラファエル・ナダルのことを考える時に忘れてはならないのは、彼の謙虚さである。それが彼の魅力であり、強さの秘密ではないだろうか。

 ナダルは敗戦の後にも、相手やファンのことを考えて行動する。

 例えば2017年のウインブルドン4回戦、世界ランキング26位だったジレ・ミュラーにファイナルセット、13-15という4時間48分に及ぶ激闘の末に敗れた。
 
 負けた試合の後は、すぐにでもコートを離れたいのが当たり前だ。だがナダルは帰る準備を整えても、その場を動かなかった。ミュラーの身支度が終わるのをベンチの前でじっと待っていたのである。そして、ミュラーの準備ができると並ぶようにコートを歩き出した。

 さらにナダルは、子どもたちに声をかけられると駆け寄って熱心にサインをした。ほんの数分前に格下相手に敗れたばかりなのに……。このような行動はなかなかできない。スタンドに詰めかけた観客は、そんなナダルの姿を見て大きな拍手を贈った――。
 
 負けた試合の後にも控えめに自分ができることをしっかりと行なうナダルは、勝った試合の後でも謙虚に振り返っている。

「人は敗戦から学ぼうとするが、僕は勝利からも学ぼうとしている」

 試合を冷静に見ながら、自分のプレーだけではなく、対戦相手の技術を評価し、敬意も払う。そして相手の素晴らしいショットを観察して、ポイントを奪われたことを素直に受け入れる。

 また、敗戦した時には、「どうして、あんなやつに負けたんだ。たまたま俺の調子が悪かっただけだ」と考えてしまう人もいるだろうが、ナダルは違う。相手に対して常に謙虚さを忘れない。それが彼の強さの要因の1つとも言える。

「謙虚とは、天賦の才だけでは勝てないと自覚し、試合の大事な場面で集中力を最大限に発揮する重要性を理解することだ」

 と成功するためには謙虚さが必要だと説く。
 
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