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海外テニス

「いつかツアーを支配したい」――5年前に抱いた夢が実現しつつあるズベレフ。才能が開花した理由に迫る【男子テニス】

内田暁

2020.06.10

今年の全豪で初めてグランドスラム4強に進出。心技体が噛み合ってきた証と言えよう。写真:山崎賢人(THE DIGEST写真部)

今年の全豪で初めてグランドスラム4強に進出。心技体が噛み合ってきた証と言えよう。写真:山崎賢人(THE DIGEST写真部)

 そのズベレフが、グランドスラムでは長くベスト8の壁を破れなかったのは、テニス界の決して小さくない謎であった。トップ選手たちも、記者会見などで謎の解を問われては、首をひねりながら独自の見解を口にする。ジョコビッチは、「グランドスラムは2週間の長丁場。勢いだけでは勝ち上がれず、経験の比重が通常のトーナメントよりも高くなる」のだと、重々しく口にした。

 一方でナダルは、「2週間だろうが5セットマッチだろうが、テニスはテニス。強い選手は、どんなフォーマットでも勝てる。サーシャは、間違いなく良い選手だ。だから、いつかグランドスラムでも必ず勝つ。2年後、3年後にまだ彼がタイトルを取っていなかったら、その時には『お前はテニスを何もわかっていない!』と僕を糾弾してくれていいよ」と朗らかに笑った。

 その時から2年後の、今年――。果たしてズベレフは、1月の全豪オープンで1セットしか落とさずベスト4へ勝ち上がり、準決勝では親友のドミニク・ティームとの死闘の末に、万雷の拍手を背に大会を去った。この大会でズベレフがファンの支援を得た理由の一つには、当時オーストラリアを襲った山火事の被害者救済のため、勝利ごとに1万ドル、優勝すれば賞金全額を寄付すると約束したことも大きかったろう。
 
 ベスト4進出を決めた時、ズベレフは次のように述べている。
「僕の父はプロテニス選手だったころ、海外でお金を稼いでは、国に還元していたという。僕は父から、『お金には、世界を良い方向に変える力がある。銀行に預けっぱなしではいけない。人々を助けるために使わなくては』と言われて育ってきた」

 各々磨きをかけてきた心技体が噛み合い、人としても成熟期を迎えたタイミングが、恐らくは今だったのだろう。なお、5年前にズベレフを鍛え始めたグリーンも、当初から「最初の2年間は、何も期待してはダメだ。ノバクやアンディのレベルで戦えるようになるには、さらに3年必要だ」と諭していたという。

 その節目となるシーズンに、コロナ禍によるツアー中断が重なったのは、当然ながら不運ではある。それでも、ただでさえ転換期と見られていたテニス界が始動した時、それまでと異なる景色が広がる可能性は高い。

 動き出した世界で描かれる、新たな勢力図。その中核を成すのが、長く「次代の騎手」と呼ばれてきたズベレフであることは、間違いない。

文●内田暁

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