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海外テニス

「この試合、この1日、今この瞬間に、一番大切なものに集中…」王者ジョコビッチが示す“準備”の重要性と心構え【海外テニス】

中山和義

2020.12.31

「トロフィーはプラスチック製ではなかった…」2011年のウインブルドンでジョコビッチは、子どもの頃から抱いていた夢を遂に実現した。(C)GettyImages

「トロフィーはプラスチック製ではなかった…」2011年のウインブルドンでジョコビッチは、子どもの頃から抱いていた夢を遂に実現した。(C)GettyImages

 その日の練習が終わると、コーチはすぐにジョコビッチの両親に本格的にテニスをさせることを勧めた。それからジョコビッチはテニスに没頭していくことになる。その頃の様子を彼は次のように語っている。

「毎日、私は何百本ものフォアハンド、何百本ものバックハンド、何百本ものサーブといったテニスの基本的な動きを、歩くのと同じくらい自然にできるようになるまで打ち込み続けた」

 彼の練習に対する心構えは当時から特別だった。コーチは、練習の始まる前に来て1人でウォーミングアップやランニングを済ませていたノバク少年の姿を思い出し、「10歳にして完璧なプロフェッショナルだった」と振り返る。

 ジョコビッチのように幼い頃に大きな夢を抱く人は数多くいるが、その夢を実現できる人はほとんどいない。その違いは、夢にどのくらいこだわり、夢に向かってどれだけ努力できるのかだろう。
 
 ジョコビッチは練習や試合に対しての心構えについて、

「この試合、この1日、今この瞬間に、一番大切なものに集中できれば、結果は望みうる限りで最高のものになる」

 と話している。そしてウインブルドンで初優勝した時のことを次のように語っている。

「トロフィーは6歳の頃に抱えていたプラスチック製ではなかった。今回は本物なのだ」

 夢を失わずに、そのために必要な行動を取り続けたことが、彼にウインブルドン優勝という最高の結果を与えてくれたのだろう。

「私は自信と長所を失わずにグランドスラムに挑み続けるよ。そのためならどんな犠牲でも払う。勝利の女神は努力した者に微笑むものだ」

 結果を残した後も、さらに新しい挑戦を続けるジョコビッチの言葉である。

文●中山和義

●プロフィール●
ノバク・ジョコビッチ/1987年5月22日生まれ、セルビア出身。188dcm、77kg。隙のない守備力が最大の武器で、2016年の全仏で生涯グランドスラムを達成。以降も全豪2回、ウインブルドン2回、全米1回とコートの種類に関係なくタイトルの数を増やしている。四大大会通算17勝は、ロジャー・フェデラーの20回、ラファエル・ナダルの19回に次ぐ記録。ランキング:1位(2020年3月16日現在)

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