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国内テニス

「やるからには本気でやる」河内一真が、高校テニス部とプロの"最後の試合"をクラウドファンディングで企画

内田暁

2020.07.09

部活テニスからプロへ進んだ河内だが、決して順風満帆な道のりではなかった。だからこそこの試合をきっかけに、さらなる高みを目指す高校生が現れてほしいと願う。写真:内田暁

部活テニスからプロへ進んだ河内だが、決して順風満帆な道のりではなかった。だからこそこの試合をきっかけに、さらなる高みを目指す高校生が現れてほしいと願う。写真:内田暁

 “「下克上バトル」プロ軍団vs高校生の本気の団体戦!!”

 プロジェクト名には真っすぐに、イベント企画趣旨を込める。

 訪問校の数は、現時点では8を予定。参加資格は、直近2年以内にインターハイ、または選抜の団体戦に出場経験のある高等学校。団体戦の開催時期は、8月下旬から9月を予定している。

 なぜ、自分たちプロと、高校生の団体戦での対戦なのか――。戦いの場を失った高校生たちに何かをしてあげたいと考えた時、河内が至ったこのイベント形式の背景には、彼自身のテニスキャリアが色濃く染み付いてもいる。

 先述したように、ジュニア時代の彼はジュニアデビスカップの日本優勝に貢献し、高校時代にはインターハイで母校を初優勝に導くなど、まさにエリート街道を走っていた。だがプロ転向後は、かねてから鈍い光を放っていた不吉な兆しが、一気に表面化する。

 イップス――。その黒いくびきは、まずは彼のサービスを決定的に破壊し、やがてはフォアハンドをも束縛した。原因は、分からない。解決の目処も立たない。それでも彼は、諦めなかった。試合に勝てなくても、対戦相手にぎこちないフォームをからかわれても、「逃げ出すよりは、ましだった」からだ。

 何年間も、もがき、苦しみ、やがてひとつの転機となったのは、「以前の自分に戻る必要はない」と、今の自分を受け入れたことだったという。そこからは新たな自分を模索して、ゼロから……いや、マイナスから技を積み上げた。

 そうして、プロ転向から7年。まだ時折、イップスの気配を右腕に感じながらも、今の彼はそれをも制御する術を体得した。穏やかな表情と、明るい口調に一本芯を通す強い意志は、それら踏破してきた足跡が生んでいるのだろう。
 
「こっちも、やるからには本気でやる。なので高校生たちには、これを一つの試合として本気で捉えて欲しいなって思います」

 そう断言する河内は、いずれ対戦するであろう高校生たちに、次のエールを送った。

「3年生にとっては、本当に最後の団体戦かもしれない。だからこれが、自分たちの集大成だという思いで参加して欲しい。1年生には、プロとの対戦を来年へのモチベーションだったり、スキルアップにつなげて欲しいっていうのが一番大きいです。そして僕らとの試合を通じて、プロを目指す学生も増えてくれたら嬉しいです。この対戦をきっかけに、さらなる高いところを目標にしてもらえたらと思います」。

取材・文●内田暁

下剋上バトルのクラウドファンディングはこちら

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