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海外テニス

「それぞれが自分に有利な動きをする」ダニエル太郎らがツアー再開に向けて感じる「テニス界の弱いところ」

内田暁

2020.07.24

「大会に出たい気持ちはあるが、積極的に『出る出る!』とはなれない」と加藤未唯も不安を隠せない。(C)GettyImages

「大会に出たい気持ちはあるが、積極的に『出る出る!』とはなれない」と加藤未唯も不安を隠せない。(C)GettyImages

 ダニエル個人の想いとしては、ツアー再開は楽しみであり、「世界中を旅しながら戦う」というフォーマットこそがテニスの美点だと信じている。ただ、ポスト・コロナの時代にもその美点を繋いでいくには、今のままでは回らない。

「7つの組織を合体させるのか、選手ユニオンが必要なのか……それをどうするべきか、色んな選手ともよく話しています」

 表面化した問題点を嘆くのではなく、彼は、今を改革の好機と捉えようとしている。

 統括組織不在による迷走への不安は、女子選手の方が大きいかもしれない。

 6月中旬にWTAが公開したツアースケジュールを見た時、日比野菜緒は「目を疑った」と言った。10月の大会の大多数が、中国に固まっていたからだ。中国内の感染者数は減ったとはいえ、新型コロナウイルス感染源となった大陸への選手の拒絶感は根強く残り、大会開催には多くの問題が横たわる。現に7月に入ると、中国は全スポーツの国際大会中止を発表した。
 
 全米オープンが最も好きなグランドスラムという加藤未唯も、再開予定には「信じがたい」と戸惑いを隠せない。

「毎日あれだけの感染者が出ているアメリカで、本当に全米オープンができるのかなと。帰国したら2週間隔離かもしれないし、10月の大会はほとんど中国。そういう状況を考えたら、大会に出たい気持ちはあるが、積極的に『出る出る!』とはなれない」

 加藤の言葉は、ほとんどの選手の思いを代弁するものだろう。

 なおWTAは、中国の国際大会中止表明後も、「政府の決定がツアーの中止を決めるものではない」と強気な姿勢を崩さずにいた。中国開催予定の7大会の中止を発表したのは、政府の発表から2週間経った7月24日のこと。なおATPは当初より、従来秋に開催されているアジアの大会の多くをキャンセルし、ツアーの中心地を欧州に絞っていた。

 それぞれの組織が手探りで再開の時を模索しているテニス界だが、「弱いところ」の抜本的解決が成されぬ限り、真の意味での再開はないだろう。

 その混沌のさなか、ロジャー・フェデラーがツイッターで「ATPとWTAが統合され、一つの運営組織になったらどうかな」とつぶやき、それに対しWTA創設者のビリ―ジーン・キングが「それこそが私の願い!」と返す一幕があった。

 新旧大御所の見解が交錯する地こそが、テニス界が目指すべき未来かもしれない。

取材・文●内田暁

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