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国内テニス

日比野菜緒がツアー単複2冠!土居美咲の背中を追いかけ、共につかんだ再上昇への兆し

内田暁

2019.09.16

ただ粘るだけではなく、相手の攻撃を封じるテニスを繰り広げた日比野。写真:内田暁

ただ粘るだけではなく、相手の攻撃を封じるテニスを繰り広げた日比野。写真:内田暁

 そしてこの日比野の成長こそが、土居を焦らせた要因でもある。
「彼女は粘り強かったし、フォアでも組み立てられたので、自分の形にするチャンスをもらえなかった」

 予想を上回る日比野のプレーが土居の焦りとミスを呼び、ミスは苛立ちとさらなる焦燥を募らせる。

「安定したショットで、なおかつ自分の形で攻めるのが理想ではあるが、そこがうまくいかず、どちらもできていない状態になってしまった」という土居とは対象的に、日比野は攻守の天秤がピタリと均衡を保ち、揺るがない。第1セットの第5ゲームから9ゲーム連取した日比野が、終盤の土居の追い上げにも怯むことなく、最後は再び突き放して優勝へと駆け込んだ。
 2015年にツアー初優勝を手にした後、日比野と土居の2人は、ランキング上でも似た足跡を辿ることになる。2016年にそれぞれキャリア最高位に達するも、2018年にはトップ100から脱落し、グランドスラム本戦やツアーにも出られない日を過ごした。その中でも、よりもがき苦しんだのが、300位台までランキングを落とした土居だ。

 昨年4月頃には真剣にテニスを辞めることさえ考え、親しい人にその想いを打ち明けもした。そのような土居の胸中を風の便りで耳にした日比野は、思わず涙したという。


 そのどん底から這い上がり、今年再びトップ100に返り咲く土居の姿を見て、日比野も「すごくうれしかったし、私もトップ100に戻りたいとの思いが強くなった」という。そして今大会の成績により、2人は揃って80位台にランキングを上げることが確定。その晴れの舞台が日本で巡ってきたことを、日比野は「本当にご褒美」だと破顔した。
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