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海外テニス

臆病な少女から意思ある大人の女性へ…声明文を発表した大坂なおみの"本当の気持ち"【海外テニス】

内田暁

2020.08.29

準決勝に出場した大坂なおみは、難しい状況下で見事に勝利を挙げた。(C)Getty Images

準決勝に出場した大坂なおみは、難しい状況下で見事に勝利を挙げた。(C)Getty Images

 NBAやMLBに倣い、明日は試合をしないつもりだと伝えると、WTAからは「我々もあなたの意向をサポートします」との答えが返ってきた。そこで、自らの決意を自身の言葉で発信すべく、彼女はインスタグラムとツイッターに、件の声明文を上げる。

 彼女曰く、それは「難しい決断ではあるが、必要なこと」であった。会見で、「行動の背後にあるものは“勇気”か」と問われると、彼女は穏やかな口調で、次のように答えている。

「私は自分を、勇気があるとは思わない。ただ、自分がすべきことをやろうと思っただけで。“共通感覚”とはちょっと違うけれど……でも、現時点ではこれが私の責務だと感じたから」

「勇気」という言葉を否定した大坂は、「正直に言うと、自分のやったことが怖かった」のだとも告白した。「携帯電話の電源を切っていた。みんなが私について、どんなことを言うのか見るのが不安だったから」……と。
 
 果たしてどれほどの時間、彼女は、電話を切っていたのだろうか。電源を入れたスマートフォンには、彼女の行動に共感した多くの選手や関係者たちからの、激励のメッセージが届いていた。WTA創設者のビリー・ジーン・キングは称賛と支援を表し、セレナとビーナスのウイリアムズ姉妹からも、言葉が寄せられていたという。

 一日延期された準決勝で大坂に破れたメルテンスは、大坂を「ロールモデル」だと言い、男子決勝に勝ち上がったラオニッチは、「これは政治の問題ではない。人権の問題だ」と定義した。

 かつて、ネットに溢れる誹謗中傷を恐れスマートフォンすら手にしなかった少女は、ソーシャルメディアで自らの意志を表明し、テニス界を牽引する存在になっていた。

文●内田暁

【PHOTO】大坂なおみ、成長を遂げた19年シーズンを写真で振り返る!
 
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