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海外テニス

【全米オープン展望】大坂なおみ2年ぶりVなるか?“ジョコ1強”の男子には日本選手5名が出場

内田暁

2020.08.31

 一方、日本勢最高ランキングの西岡は、あえて前哨戦には出ない道を選んだ。長いバブル生活で疲弊するよりも、直前まで日本で調整し、フレッシュな状態で全米オープンに挑む策。それは、前十字靭帯断裂からの復帰も経験し、調整力やオンオフの切り替えに自信をつけたがゆえの選択でもあっただろう。久々の公式戦が全米オープンの大舞台ではあるが、「グランドスラムということは意識せず、試合そのものを楽しみたい」との心境でニューヨークへと飛び立った。

 その西岡の初戦の相手がアンディ・マリーというのは、これ以上にない燃える材料のはず。人工股関節の大手術から復帰したマリーは、ウェスタン・サザンオープンでサーシャ・ズベレフを破るなど、ここ一番では全盛期に近いプレーができることを証明したばかり。今の地位よりさらに上に行くためには「強い選手との対戦経験が何より必要」と上位勢との戦いを渇望していた西岡にとって、格好の試金石となる。

 女子の方では、大坂なおみに日比野菜緒、そして土居美咲と奈良くるみがシングルスに出場。そのうち大坂と土居が、いきなり1回戦で相まみえることとなった。
 
 ウェスタン・サザンオープンで好調なプレーを見せていた大坂だが、決勝戦を左ハムストリングのケガのために棄権。そこから中一日の試合となるため、回復具合が心配されるところだ。大坂は土居について、「彼女はとても危険な選手。レフティだし動きがとても良い」と評し、「凄くタフな試合になるだろう」と予想した。

 その土居は、日本勢ではいち早く北米入りし、現地の空気に身体を慣らしてきた。8月上旬に左足首を捻ったこともあり、実戦としては本人が望むほど積めなかったかもしれないが、その分、全米オープンの開幕に絞って調整してきたはず。注目度を楽しむ心境になれば、面白い試合になりそうだ。

 3年ぶりに全米オープン本戦出場の日比野は、初戦で第10シードのガルビネ・ムグルサと対戦する。コロナによるツアー中断期間、「高いポジションを保ち、早いタイミングでボールを打つ」ことに取り組んできた日比野にとって、ムグルザはお手本とした一人。その相手に磨いたプレーをどこまで発揮できるか、注目だ。

 世界ランク142位の奈良は、出場辞退者が相次いだため直前で出場圏内に滑り込んだ。調整具合が気になるところではあるが、そこは経験で十分に埋め合わせられるだろう。

 男子ほどの絶対王者がいない女子では、ニュー・ノーマルを謳う世界で、新たな秩序が生まれるかもしれない。ツアー再開後初のグランドスラムである全米オープンが、その始点となる。

文●内田暁

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