WTAツアーデビューを果たした16歳の夏、彼女は、スマートフォンを持っていなかった。理由は、インターネットから距離をおくため。
「ネットでは、私についてこんなことばかり書かれている。『彼女はBlasian(ブラックとアジアンを合わせた造語)なの?』。Blasianってなに? 私は日本人であり、黒人よ」。16歳当時に受けた『Sports Illustrated』のインタビューで、彼女はそう訴えていた。
それから、6年後――。
スマートフォンを身体の一部のように使いこなし、インスタグラムで120万人のフォロワーをかかえる大坂は、ウェスタン&サザン・オープンの準々決勝終了後に、ソーシャルメディアに一つの“声明文”を投稿した。
「多くの方がご存知のとおり、私は明日、準決勝を戦う予定でした。ですが一人のアスリートである前に、私は、一人の黒人女性です」。そのような書き出しで始まる文面は、以下のように続いていく。
「黒人女性として、今は私のプレーを見てもらう以上に、大切な問題があると感じています。私が試合をしないことで、劇的な変化が起こるとは思っていません。それでも、白人が主流のこの競技で対話を始めるきっかけになれば、正しい方向へと踏み出す一歩になるはずです」
それはスポーツ界に広がっていた、人種差別に抗議するストライキへの、賛同の意思表明だった。
事は23日に、ウィスコンシン州の黒人男性が、警察官に背後から打たれた事件に端を発する。この事態を受け、まずはNBAが動いた。ウィスコンシン州に本拠地を置くミルウォーキー・バックスの選手たちが、26日に行なわれる試合をボイコットすると表明したのだ。それら選手の意志をチーム、さらにはNBAも支持し、この日に予定されていた3試合全ての延期を決定。すると同様の動きは、WNBAやメジャーリーグ・ベースボール(MLB)にも広がり、瞬く間にアメリカ全土を覆う一大ムーブメントへと発展していった。
準々決勝を戦い終えた後、大坂は、この一連の動きを知る。「私も、声をあげなくては」。そう感じた彼女は、まずは自身のエージェントと話し合い、そしてWTAへと電話をかけた。
「ネットでは、私についてこんなことばかり書かれている。『彼女はBlasian(ブラックとアジアンを合わせた造語)なの?』。Blasianってなに? 私は日本人であり、黒人よ」。16歳当時に受けた『Sports Illustrated』のインタビューで、彼女はそう訴えていた。
それから、6年後――。
スマートフォンを身体の一部のように使いこなし、インスタグラムで120万人のフォロワーをかかえる大坂は、ウェスタン&サザン・オープンの準々決勝終了後に、ソーシャルメディアに一つの“声明文”を投稿した。
「多くの方がご存知のとおり、私は明日、準決勝を戦う予定でした。ですが一人のアスリートである前に、私は、一人の黒人女性です」。そのような書き出しで始まる文面は、以下のように続いていく。
「黒人女性として、今は私のプレーを見てもらう以上に、大切な問題があると感じています。私が試合をしないことで、劇的な変化が起こるとは思っていません。それでも、白人が主流のこの競技で対話を始めるきっかけになれば、正しい方向へと踏み出す一歩になるはずです」
それはスポーツ界に広がっていた、人種差別に抗議するストライキへの、賛同の意思表明だった。
事は23日に、ウィスコンシン州の黒人男性が、警察官に背後から打たれた事件に端を発する。この事態を受け、まずはNBAが動いた。ウィスコンシン州に本拠地を置くミルウォーキー・バックスの選手たちが、26日に行なわれる試合をボイコットすると表明したのだ。それら選手の意志をチーム、さらにはNBAも支持し、この日に予定されていた3試合全ての延期を決定。すると同様の動きは、WNBAやメジャーリーグ・ベースボール(MLB)にも広がり、瞬く間にアメリカ全土を覆う一大ムーブメントへと発展していった。
準々決勝を戦い終えた後、大坂は、この一連の動きを知る。「私も、声をあげなくては」。そう感じた彼女は、まずは自身のエージェントと話し合い、そしてWTAへと電話をかけた。