専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
海外テニス

無観客開催に欠場者の続出…新型コロナがもたらす全米オープンへの影響と変化

内田暁

2020.08.31

 感染防止対策の観点で言えば、もっと直接的な影響を及ぼしかねない事例もある。

 例えば、通常は会場のフィジオルームに置かれているアイスバスが、今年は撤去されているという。ウェスタン&サザンオープンの決勝をハムストリングの痛みで棄権した大坂なおみは、「皆が同じ条件なので言い訳には出来ない」と前置きした上で、次のように言っていた。

「私にとって少し不運だったのは、今回はフィジオルームにアイスバスがないこと。いつもは大会で勝ち進むと、アイスバスに入るのが習慣になっていたから。回復という意味では、間違いなく影響があったと思う」

 ただでさえ実戦から長く離れた直後の大会では、選手たちのケガが懸念されるところ。そこに加えて今大会では、施設や人員の面でも制約が多く、日頃のルーティンが乱されるケースも多いだろう。

 そのような状況下で、二週間の長丁場をいかにケガなく切り抜けるかも、いつも以上に重要なファクターになりそうだ。
 
 大会側は万全の防疫対策を講じているとはいえ、やはりヨーロッパやオーストラリアを拠点とする選手たちは渡米に難色を示し、顔ぶれ的にはいささか寂しい感は否めない。

 男子は昨年優勝者のラファエル・ナダルを筆頭に、スタン・ワウリンカやニック・キリオスらが欠場。ロジャー・フェデラーは新型コロナとは関係なく、手術に踏み切った膝の完全回復を期して今季の全試合欠場をすでに発表している。

 女子の方でも、世界1位のアシュリー・バーティーや前年優勝者のビアンカ・アンドレスクらを含む、ランキング上位10選手のうち6名までもが欠場。

 無観客であることも含め、何もかもが未曾有の環境下で開かれる今大会では、展望や優勝者も含め、何が起こるか予想が困難ではある。

 そしてだからこそ、今大会の結果がテニスやスポーツ界の先行きを照らす、希望の光となることを願ってやまない。

文●内田暁

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号