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海外テニス

ツアー復帰から1勝3敗と“実戦不足”の錦織圭。全仏オープン躍進のカギとなるのは?

THE DIGEST編集部

2020.09.27

 そしてもう一点、今回の全仏オープンにおいては、ことさら会場での練習が重要なわけがある。それが、大会開催時期と公式球の変更に伴う、コート状況やボールの飛び方の変化だ。

 今大会からオフィシャルボールは、従来のバボラからウイルソンとなった。ナダル曰く、ウイルソンボールはバボラのそれよりも打球感が固め。それが今年の秋のパリの寒さと相まって、「とてつもなく重く感じる」のだという。

 また、昨年の準優勝者にして先の全米オープン戴冠者のドミニク・ティームも、同様の感想を述べた上で、「恐らく今年の環境は、ラファ(ナダル)よりもノバク(ジョコビッチ)に合っている」とも言った。「このボールを、このコンディション下で打つための正しいフィーリングを見つけることが重要」とはナダルの弁であり、そのためには、会場のコートで多くのボールを打つこと以外に近道はないのだろう。
 
「今年の目標は、特に設定していない」と繰り返す錦織は、この全仏でも一球でも多くのボールを打ち、目の前の試合に集中しながら一つでも多くの勝利をもぎ取ること以外に、考えてはいないだろう。

 そもそも彼は以前から、ドローが出ても直近の対戦相手しか確認しないスタンスを貫いている。その1回戦の相手は、第32シードのダニエル・エバンス。穴の少ないオールラウンダーではあるが、それだけに、ある程度プレーの予測がつく相手でもある。シード選手の実力者ながらクレーをやや苦手とするのも、錦織としては、落ち着いて戦える要因になるかもしれない。

 グランドスラムのコートに立つ錦織には、やはり、そこがいるべき場所という風情が漂う。いつもとやや異なる環境ながら、いつものように彼を迎え入れるローランギャロスの景色。錦織圭の復帰後初のグランドスラムが、いよいよ秋のパリで幕を開ける。

文●内田暁

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