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海外テニス

「”変えないことで有名”のナダルすらテンションを調整」異例な環境の全仏OPについて大会公式ストリンガーの細谷氏が語る

スマッシュ編集部

2020.10.09

全米オープンや全豪オープンなどGS大会をはじめ、多くのツアー大会でストリンガー経験を持つ細谷理氏。神奈川県茅ケ崎市でテニスショップ『On Court (Racquet)!』を経営している。写真=内田暁

全米オープンや全豪オープンなどGS大会をはじめ、多くのツアー大会でストリンガー経験を持つ細谷理氏。神奈川県茅ケ崎市でテニスショップ『On Court (Racquet)!』を経営している。写真=内田暁

「ナダルは変えないことで有名なんです。気温が変わっても常に同じテンションで張るんですが、ナダルすら変えたのには、ちょっと驚きました」

 具体的には、0.5キロ(1ポンド強)のテンションダウン。通常、ストリングのテンションを下げれば下げるほど、ボールはより飛ぶようになる。

 細谷氏がこの変更に気づいたのは、最も寒かった1回戦の頃のこと。その後はまた以前の数値に戻したかもしれないが、いずれにしてもナダルのテンション変更は、彼がいかに今大会を、「いつもと全く異なる」と感じているかを示す証左だろう。
 
 このナダルの動きに象徴されるように、ストリングのテンションを下げるのは、今大会で多くの選手に見られる潮流だ。ペトラ・クビトワも、気候への適応について問われた際に「ストリングを1キロ下げた」ことを明かしている。
 
 小雨の降る極寒の初日を戦った錦織圭も、「初戦では2ポンド落としてました」とは細谷氏の弁。逆に気温やや上がった2回戦では、試合中にテンションを上げるリクエストがあったという。

 観客もまばらなスタジアムで、ロングスリーブを着込んだ選手が、今年から設置された照明灯りの下を走る姿は、確かにかつて見たことのないローランギャロスの光景だ。開幕前にある程度予想されていたことではあるが、番狂わせも、特に女子では凄まじい勢いで起きている。

 その混沌の景観のなか、13度目の優勝を狙うナダルは、厳しい環境にも適応しつつ準決勝まで勝ち上がっている。ナダルが、ローランギャロスのベスト4以上のステージで負けたことは、過去にただの一度もない。
 
文●内田暁

【PHOTO】ナダル、ジョコビッチなど、全仏オープン2020で活躍する男子選手たちの厳選PHOTOを一挙公開!

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