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国内テニス

「大事なところでギアをあげてきた」18歳のプロ佐藤久真莉がコートで痛感したトップ選手との距離【全日本テニス】

内田暁

2020.10.31

決勝戦へと駒を進めた日比野は、佐藤との準決勝を振り返り「すごく良い選手が出てきた」と18歳の実力を認めた。写真:山崎賢人(THE DIGEST写真部)

決勝戦へと駒を進めた日比野は、佐藤との準決勝を振り返り「すごく良い選手が出てきた」と18歳の実力を認めた。写真:山崎賢人(THE DIGEST写真部)

 日比野との準決勝でも佐藤は、若い勢いと、知性を融合させた完成度の高いテニスを披露した。深いボールで相手を押し下げてから、浅いアングルショットを決める。あるいは、低い軌道の強打で相手を左右に振り、ボールが浮いた瞬間を見逃さずに、ネットに出てボレーを決める場面も多々見られた。
 
 第1セットは落とすも、「自分の良いプレーがたくさんあった」との自信を胸に、第2セットは伸びやかに攻めて6-2で奪う。その勢いのままに第3セットも最初のゲームをブレークした佐藤が、勝利に大きく前進した。

 だがこの局面で、佐藤は、真のトップ選手がいかなるものかを、身を持って知ることになる。

「日比野さんは大事なところで、ギアをあげてきた。ミスが減ったり、2セットまでは決まっていたボールが1球多く返ってきた」
 
 それら質が上がった相手のプレーに、佐藤は重圧を覚えただろう。際どいコースを狙ったショットがボール1個分外れ、重要な局面でダブルフォールトも重ねる。

「一気に集中力が上がるのが、やはり違うところかなと思いました」

 4ゲーム連続で失い喫した逆転負けを、彼女は素直に、彼我の実力差として受け入れた。それでも試合後の18歳の目に浮かんでいたのは、ある種の満足感と充実感。

「全然試合ができていなかったなかで、今回3回勝って、日比野さんとも試合ができた。今大会での良かったプレーを、もっと磨いていきたいです」

 初出場の全日本選手権から、両手いっぱいの収穫を持ち帰った。

【女子シングルス準決勝の結果】
○日比野菜緒(ブラス)[1]  6-4 3-6 6-3 佐藤久真莉(富士薬品)[W]●
○秋田史帆(橋本総業HD) 6-4 6-1 本玉真唯(島津製作所)[4] ●

【男子シングルス準決勝の結果】
○今村昌倫(慶應義塾大学)[W] 3-6 6-2 6-3 山崎純平(日清紡HD)[8] ●
○中川直樹(橋本総業HD) 7-5 6-4 今井慎太郎(イカイ)[2] ●
※名前の後の数字はシード、W=主催者推薦枠

取材・文●内田暁

【全日本選手権PHOTO】佐藤久真莉ほか決勝進出を懸けて火花を散らした男女準決勝を厳選写真で振り返り!
 

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