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海外テニス

【レジェンドの素顔4】長い休養を取ったマッケンロー。復活の鍵は集中力を持続させるための体力|前編〈SMASH〉

立原修造

2021.02.12

マッケンローの日々の練習時間は1時間半程度で、気まぐれで休むこともあった。写真:THE DIGEST写真部

マッケンローの日々の練習時間は1時間半程度で、気まぐれで休むこともあった。写真:THE DIGEST写真部

 マッケンローは、ボルグほどストイックにテニスに打ち込んではいなかった。日々の練習はせいぜい1時間半程度。気まぐれで休むこともあった。ロック・ミュージックという気晴らしもあった。しかし、移動につぐ移動で不自由な生活を強いられていたことに変わりはない。テニスファンは、ときに、ボルグやマッケンローが「人間」であることを忘れてしまう。まるでテニスを楽しませてくれる「マシン」のように錯覚することがある。

 しかし、彼らは生身の「人間」なのだ。いつも、名誉や賞金を欲しがっているわけではない。特に、マッケンローは愛情に飢えた男だ。そんな男に子どもができた。一日中、子どものことを思っていたいだろう。それだけ、テニスのことが頭から離れたとしても仕方がない。マッケンローの休養が長びくわけだ。

 そこまではいい。むしろ、問題はそのあとだ。一度萎えてしまった「集中力」を再び取り戻すことができるかどうか。カギを握るのは「体力」だろう。「体力」に自信を持つことが、「集中力」を呼び戻す最善の方法になる。

 ボルグは「体力」に自信が持てなかった。彼の肉体は長い間の無理なフォームがたたってボロボロになっていた。そのため、一度萎えてしまった「集中力」をもはやどうすることもできなくなった。

 かつてロッド・レーバーはボルグの引退に際してこう語っている。「あの打ち方では長続きしないと思っていた。彼は実際の年齢よりはるかに老いていた」
 
テニスを楽しむためのダブルス!

 マッケンローはすでにボルグが引退した年齢を超えてしまっている。マッケンローの体力は大丈夫だろうか。

 嫌なデータがある。マッケンローの体力に疑問を投げかけるものだ。マッケンローはこれまで、グランドスラム大会の決勝戦に11回出場している。内訳は、ウインブルドン、USオープン各5回、フレンチオープン1回だ。

 成績は7勝4敗と良い。しかし、問題なのは、その負け方だ。ファイナルセットまでもつれた試合は、ほとんど負けている。80年ウインブルドンのボルグ戦、82年ウインブルドンのコナーズ戦、84年フレンチオープンのレンドル戦。すべて第1セットを取りながら並ばれて、ファイナルセットで競り負けている。

 特徴的だったのは、84年フレンチオープン。レンドルを相手に、6ー3、6ー2と連取しながら、前半の飛ばしすぎがたたって、以後メロメロ。疲れからファーストサービスが入らなくなり、セカンドサービスをことごとくレンドルに逆襲されていた。

 グランドスラム大会でマッケンローが勝った7回の平均ゲーム数は34。逆に、負けた4回の平均は48ゲーム。つまり、ゲーム数が増えるたびに、マッケンローは勝機を逸しているのである。
 

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