「彼女の試合を、いつもテレビで楽しみながら見ていた。私には彼女のようなプレーはできないけれど、色んなタイプの選手がいるのは、この競技にとって良いことでしょ？」

　そのようなメンタリティで試合に望めるようになったのは、心技体の成長が背景にある。コーチのウィム・フィセッテは、その点を以下のように説明した。

「確かにオンスのような選手との対戦は難しいが、なおみには試合前に、『君がオンスにやりにくさを感じる以上に、オンスは君の強打を驚異に思っているはずだ』と伝えた。それに今のなおみは、フィジカルも技術も上がり、できることが増えている。心理状態は、考え方や物事を見る角度ひとつで変わるもなんだ」
  　時に、相手の立場から自身を俯瞰する多角的な視座をも獲得し、今の大坂は、あらゆる相手との対戦を楽しみにしているという。その意味では次の対戦相手は、ジャベールとはガラリとプレースタイルの異なる、強打が武器のガビネ・ムグルザ。

　厳しい……だからこそ、エキサイティングな旅路は続く。
　
現地取材・文●内田暁

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