キープ合戦となった第1セットは、タイブレークの末に西岡が奪った。第2セットはブレークを許し落とすも、第3セットは少ないチャンスをものにし奪い返す。第4セットもタイブレークにもつれ込み、この時は、終盤に勝負を掛けてネットに出た相手に軍配があがった。
そして突入した、かつてイズナーが永遠に戦い続けた、ファイナルセット――。
サーブで先行する西岡は、まずは自身のゲームキープに専念する。落とせないという息苦しさは覚えたが、同時に、「相手がプレッシャーを感じているのもわかっていた」。
互いにキープし、ゲームカウント5-4で迎えた、第10ゲーム。ここを勝負どころと見た西岡は、集中力を一層研ぎ澄まし、自慢のフットワークの走力を一段階引き上げる。
ネット際の攻防となったゲームポイントの局面では、決まったと思われたボレーに背走し追いつくと、振り向きざまにパッシングショットを決め、この日最大の歓声を引き出した。両手を振り上げ、さらに声援をあおり自らを盛り上げた西岡は、その後も相手の足元にボールを沈め、疲れの見えるイズナーのボレーミスを誘っていく。
試合開始から、3時間18分。
イズナーのボレーに快足を飛ばし追いついた西岡は、相手の動きを見極めて、コンパクトなスイングでバックを鋭く振り抜いた。打球はイズナーの脇を抜け、白いラインの内側で、緑の芝の上を跳ねる。次の瞬間、天に突き上げた西岡の手に弾き飛ばされ、キャップがふわりとコートに落ちた。
総獲得ポイントは、155対151でイズナーが上回る。サービスエースの数は、イズナーが36で、西岡は3。ただ、エラーで相手に与えたポイントは、イズナーが70を数えたのに対し、西岡は僅かに18にとどまっている。
コートを駆けた総距離は、イズナーの6193メートルを、西岡は大きく上回り7179メートル。
「危ないゲームも多かったですが、耐え続けたのが勝因だったと思います」
試合後の勝者は、言葉に静かな矜持を込めた。
現地取材・文●内田暁
【PHOTO】けがを乗り越え大躍進する西岡良仁の厳選ギャラリー!
そして突入した、かつてイズナーが永遠に戦い続けた、ファイナルセット――。
サーブで先行する西岡は、まずは自身のゲームキープに専念する。落とせないという息苦しさは覚えたが、同時に、「相手がプレッシャーを感じているのもわかっていた」。
互いにキープし、ゲームカウント5-4で迎えた、第10ゲーム。ここを勝負どころと見た西岡は、集中力を一層研ぎ澄まし、自慢のフットワークの走力を一段階引き上げる。
ネット際の攻防となったゲームポイントの局面では、決まったと思われたボレーに背走し追いつくと、振り向きざまにパッシングショットを決め、この日最大の歓声を引き出した。両手を振り上げ、さらに声援をあおり自らを盛り上げた西岡は、その後も相手の足元にボールを沈め、疲れの見えるイズナーのボレーミスを誘っていく。
試合開始から、3時間18分。
イズナーのボレーに快足を飛ばし追いついた西岡は、相手の動きを見極めて、コンパクトなスイングでバックを鋭く振り抜いた。打球はイズナーの脇を抜け、白いラインの内側で、緑の芝の上を跳ねる。次の瞬間、天に突き上げた西岡の手に弾き飛ばされ、キャップがふわりとコートに落ちた。
総獲得ポイントは、155対151でイズナーが上回る。サービスエースの数は、イズナーが36で、西岡は3。ただ、エラーで相手に与えたポイントは、イズナーが70を数えたのに対し、西岡は僅かに18にとどまっている。
コートを駆けた総距離は、イズナーの6193メートルを、西岡は大きく上回り7179メートル。
「危ないゲームも多かったですが、耐え続けたのが勝因だったと思います」
試合後の勝者は、言葉に静かな矜持を込めた。
現地取材・文●内田暁
【PHOTO】けがを乗り越え大躍進する西岡良仁の厳選ギャラリー!