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海外テニス

東京五輪とは違う?「ウインブルドン」が実践する“慎重さと大胆さ”が混在する観客コントロールとは…<SMASH>

内田暁

2021.07.03

スタンドには入場者数制限が課されているものの、多くのファンはマスクを着けずに試合を楽しんでいる。写真:内田暁

スタンドには入場者数制限が課されているものの、多くのファンはマスクを着けずに試合を楽しんでいる。写真:内田暁

 ひとたび会場に足を踏み入れれば、観客にこれといった大きな制約はない。「場内を移動するときは、マスクをすること」と記されてはいるが、実際に着用しているファンは半分程度といったところか。

 また、着席時のマスク着用は必要なく、それは観客席でも場内のカフェテリアでも同様。ことファンに関しては、コロナ以前とさほど変わらぬ光景が会場内に広がっている。

 その一方で、選手たちは会場内を歩くことは基本的に禁じられており、記者会見も完全リモート(ただしテレビ取材は、「ガーデン」と呼ばれる屋外エリアにて対人で行なわれている)。
 
 とはいえ、ショウコート以外はコートと客席の距離は近く、試合中でも、いわゆる「ソーシャルディスタンス」以上に選手と観客の距離が縮まることもある。

 実際に大会4日目には、ニック・キリオスがマッチポイントで客席のファンの一人に近づき、どこにサーブを打つべきか耳打ちしてもらう一幕も。その指示通りに打って勝ったキリオスは、勝利の女神のファンにボールをプレゼント。「ハグしたいけれど、できないからさ」と言って笑いをさそった一連のシーンは、テニス会場から消えて久しい光景だった。

「リサーチ・プログラム」としての結果が、最終的にどうなるかは、まだわかからない。

 ただ大会中盤に差し掛かった現時点では、復活のマリーやロジャー・フェデラーの帰還もあり、大会は華やぎを見せている。

 伝統を重んじるザ・チャンピオンシップスが、文字通り「パイロット=水先案内人」として、テニス界が進む航路を開こうとしている。

現地取材・文●内田暁


【PHOTO】グランドスラムってこんな感じ!コロナ感染前のウインブルドン他大会スナップ写真
 

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