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海外テニス

女子ツアー“初参戦で8強入り”の本玉真唯!躍進のカギは苦境で手にした「自分のテニス」だった<SMASH>

内田暁

2021.10.04

本玉の高いポテンシャルは元女王も認めたが、今後ツアーを主戦場にするためには新たな課題も見えてきた(写真は2020年全日本選手権)。写真=THE DIGEST写真部

本玉の高いポテンシャルは元女王も認めたが、今後ツアーを主戦場にするためには新たな課題も見えてきた(写真は2020年全日本選手権)。写真=THE DIGEST写真部

 それら練習の成果を明確に実感できたのが、今年3月のトルコ遠征。球足の遅いクレーコートでの実戦で、磨いてきた種々のパーツがカチリと噛み合う音を聞いた。

「あのトルコ遠征で、自分のテニスとは何かがつかめた。“自分のテニス”とは、まずはフットワーク。いつもは無理に決めにいってた局面でも、打ち分けることができた。メンタル的にもタフになって、長いラリーでもミスなくモノにできはじめたのが、トルコの大会でした。戦術を考えたり、相手の嫌なところはどこだろうと頭をフル回転できるようになったのも、大きく変わったところだと思います」

 その見いだした“自分のテニス”を、本玉はムグルサとの試合でも発揮した。ムグルサの強打に食らいつき、左右に打ち分け長いラリーに持ち込んでは、ミスを誘ったりパッシングショットなどを決める。時には絶妙なドロップショットを沈め、元女王に天を仰がせた。

 第1セットは0-4から3-4まで追い上げ、逆転への流れをつかみかける。第2セットではブレークで先行し、主導権を握る機もあった。おしむらくは、連戦の疲労もあり、持ち味のフットワークを最後まで発揮しきれなかったこと。もちろんそれを封じたのは、グランドスラム2度の優勝を誇るムグルサの実力と経験でもある。
 
 試合後のムグルサは、「このような試合をすべての大会でできれば、彼女のランキングは今より遥かに高くなるでしょう」と、本玉のポテンシャルを高く評価。同時にこの言葉には、年間を通じて結果を残さねば上のレベルには定着できないという、ツアーの厳しい現実も込められている。

 そのことは本玉も、今大会の経験で痛感したようだ。今後の課題として彼女は、「まずは、身体をもっと強くしなくてはいけないなと思った。フィジカル面で強くならないと、このレベルで勝ち続けられない」と体力に言及する。

 同時に技術や戦術面でも、「本当に攻められる時にどんどん仕掛けていかないと、ひとつのチャンスを見逃したらすぐやられてしまう」と、世界トップのテニスを肌身で実感した。

 このレベルで戦えるという手応えと、戦い続けていくための課題。その両方をツアーデビュー戦から持ち帰った彼女は、「これからどんどん、上のレベルにチャレンジしていきたい」と笑顔で明言した。

取材・文●内田暁

【PHOTO】世界で戦う本玉真唯ら日本人女子テニスプレーヤーたち!
 
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