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海外テニス

フェデラーが思い描く引退後の人生設計とは?”億万長者の丘”にテニスコート60面分の…

スマッシュ編集部

2019.11.10

4人の子どもたちのための校舎も計画しており、土地代には5000万ユーロ(約61億円)を支払ったという(写真左はミルカ夫人)。(C)Getty Images

4人の子どもたちのための校舎も計画しており、土地代には5000万ユーロ(約61億円)を支払ったという(写真左はミルカ夫人)。(C)Getty Images

 マイアミで私が、「あの報道は本当なの?」と尋ねたところ、彼は「何にも話したくないって書いてくれよ」と懇願してきた。そして「土地に関する情報はいっさい表に出したくない。僕が言えるのは、スイスに住むのをずっと望んできた、家族のためにもそれはとても大事なことだってことだよ」。

 しかしマスコミは遠慮なしだ。大衆紙『ブリック』は、「これがフェデラーの未来の豪邸」の見出しを掲げ、「別名“億万長者の丘”と呼ばれるここには、大金持ちが100人以上も住んでいる」と報じた。

 住人の1人にジョルジュ・パウロ・レマンがいる。母国ブラジルでビール王と呼ばれるレマンは天才的な投資家という顔の他、若い頃はデ杯選手として活躍した経歴でも知られ、経済誌フォーブスによれば世界の富豪ベスト30に入るスーパーリッチマンである。

 フェデラーはレマンと以前から懇意にしており、レマン家の芝生コートで毎年、ウインブルドン直前にトレーニングを行なっている。ここの土地は1平方メートル当たり6000ドル(約66万円)以上で取引されるそうで、フェデラーは土地代に総額5000万ユーロ(約61億円)を支払ったという。では、土地の上にはどのような建物が立つのか。複数の建物は当然で、4人の子どもたちのための校舎も計画されているらしい。
 
 フェデラー一家が引っ越してくるのを知った地元民はこぞって大歓迎だ。有名人の引っ越しにより町の魅力が上昇するのは当然として、引退後に国家の英雄が海外に移住しないのがハッキリしたのがうれしいのである。そしてスイスに住み税金を支払うのを誰もが好意的に受け取っている。高額納税を嫌ったワウリンカが、名目上の住まいをモンテカルロに置いているのとは大違いだ。フェデラーもドバイに住居を持つが、それはあくまでもトレーニングが目的であり、税務対策ではない。

 新居の隣に住むボッパルト婦人は、フェデラー一家の引っ越し日を今か今かと待ち望む。「私はこの街でテニスをしていますが、一度でいいからコートでフェデラーさんに会ってみたいわね」と心を躍らす。しかし残念ながらボッパルト婦人の希望は叶いそうもない。ラッパースヴィル城とチューリヒ湖を見渡すフェデラーの新居には彼専用のテニスコートが作られるため、街中のコートに出入りする必要がないのだ。

文●レネ・シュタウファー 構成・翻訳●安藤正純
著者プロフィール/ITWA(国際テニスライターズ連盟)正会員で、経験豊富なスイス人テニスジャーナリスト。ヨーロッパを中心に第一線で活躍しており、フェデラーやヒンギスとも親交が厚い。2019年に発刊したフェデラーをテーマにした著書は、スイスでベストセラーとなっている。

※『スマッシュ』2019年8月号より転載

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