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海外テニス

イギリスで国枝慎吾がクリニックを実施。日本の車いすテニスの環境に「世界が変わっていくのは感じた」と持論<SMASH>

内田暁

2022.07.08

2人の車いすトップ選手は、コート上でも様々なアドバイスをした。写真:内田暁

2人の車いすトップ選手は、コート上でも様々なアドバイスをした。写真:内田暁

 そして、国枝とゴードンの2人が共通して言及するのが、車いすテニスが有する多様性や、社会への拡張性だ。

「車いすテニスの素晴らしいところは、統合性。グランドスラムで、同時期に同会場で車いすも開催されるし、最近ではATPやWTAのツアーでも同時開催の大会が増えています。それは本当に大切なことだし、これからも増えて欲しいと思っています。車いすテニスは、コートの大きさからルールまで、2バウンドが許されることを除けば一般のテニスと同じ。テニスは、車いすも聴覚障碍者も、誰もが同じコートで一緒にプレーできる競技なんです」

 笑顔で熱く語る彼は、そう遠くない未来に、自身の出身地であるスコットランドで車いすテニスの国際大会を開催したいと言った。
 
 国枝も、ここ数年日本でも見られる変化について、次のように感じていると言う。

「2013年に東京オリンピック・パラリンピックの招致が決まった時から、世界が変わっていくのは感じました。パラリンピック競技で食べていくという人も増えたし、電車とかもすごく使いやすくなった。僕が中学生くらいの頃は、電車を使おうと思いもしませんでしたから。それが今は、都内なら随分とアクセスが良くなったと思います。車いすテニスも、やっているクラブが増えたなという印象はあります。(小田)凱人がやっている岐阜のクラブもそうですし、九州の方にもありますし」
 
 かく言う国枝が腕を磨いた吉田記念テニス研修センター(TTC)は、他に先駆けて車いす使用者対象のレッスンをはじめ、健常者と車いす利用者がボールを打ち合うのも日常だったという。そのような景色を子どもの頃から目にし、「車いすと一般の垣根が低いのが、テニスの魅力」だと信じる国枝は、ロンドンでの子どもたちの交流を経て、改めて言った。

「2009年のプロ転向から支援してくれたユニクロさんが、今では車いすツアーのスポンサーにもなってくれている。自分がやってきたことが、車いすテニスの支えにもなっているのを誇りにも思うので、これからも一緒に、この世界をより良いものにしていきたいなと思います」

現地取材・文●内田暁

【PHOTO】東京オリンピック・パラリンピックのテニス競技のメダリストたち

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