母親が引き寄せたかのような数奇な快挙は、まだ続く。本戦の初戦でホルトが対戦したのは、テイラー・フリッツ。近い町に育ち、幼少期から幾度も練習を重ねてきた同期の“二世仲間”は、アメリカ男子のナンバー1に成長していた。
もっともホルトは、本戦のドローが決まり、フリッツの初戦の相手が“予選突破者”となっているのを見た時、「自分がそこに入るだろう」と予感したという。母親の実績や直接対決の戦績では、ホルトの方が上回る。
ただ、ジュニア時代から常に自分の先をいくフリッツを、彼は「尊敬していた」と言った。
「彼はとても練習熱心だし、惜しみなく助言や手助けをしてくれる。僕が勝った時には、いつも祝福の言葉をかけてくれた。ユーモアのセンスもあり、本当にいいヤツなんだ」
注目を集めた二世対決においては、そんな敬意を同期に寄せるホルトの方が、精神的には優位だったかもしれない。
上空を強風が吹きすさぶ、難しい気象条件の中での対戦だった。さらには、アーサーアッシュスタジアムで行なわれているセリーナ・ウィリアムズ戦の大歓声が、絶え間なく聞こえてくる。
その困難な状況の中で、試合開始から3時間5分。ホルトの安定したストロークの前に、フリッツのショットがネットを叩く。
いっぱく置いて、絶叫と共に勝者は拳を振り上げる。
その歓喜のジェスチャーに呼応し一斉に立ち上がるファミリーボックスの中で、母親は一人、椅子に身体をうずめたまま、目元を両手で覆っていた。
現地取材・文●内田暁
【PHOTO】全米オープン2022で熱戦を繰り広げるホルトら男子選手たちの厳選写真!
もっともホルトは、本戦のドローが決まり、フリッツの初戦の相手が“予選突破者”となっているのを見た時、「自分がそこに入るだろう」と予感したという。母親の実績や直接対決の戦績では、ホルトの方が上回る。
ただ、ジュニア時代から常に自分の先をいくフリッツを、彼は「尊敬していた」と言った。
「彼はとても練習熱心だし、惜しみなく助言や手助けをしてくれる。僕が勝った時には、いつも祝福の言葉をかけてくれた。ユーモアのセンスもあり、本当にいいヤツなんだ」
注目を集めた二世対決においては、そんな敬意を同期に寄せるホルトの方が、精神的には優位だったかもしれない。
上空を強風が吹きすさぶ、難しい気象条件の中での対戦だった。さらには、アーサーアッシュスタジアムで行なわれているセリーナ・ウィリアムズ戦の大歓声が、絶え間なく聞こえてくる。
その困難な状況の中で、試合開始から3時間5分。ホルトの安定したストロークの前に、フリッツのショットがネットを叩く。
いっぱく置いて、絶叫と共に勝者は拳を振り上げる。
その歓喜のジェスチャーに呼応し一斉に立ち上がるファミリーボックスの中で、母親は一人、椅子に身体をうずめたまま、目元を両手で覆っていた。
現地取材・文●内田暁
【PHOTO】全米オープン2022で熱戦を繰り広げるホルトら男子選手たちの厳選写真!