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海外テニス

セルビアの涙、ロシアの奮起…そして決戦直前!新生デ杯優勝チームは、スペインか?カナダか?

内田暁

2019.11.24

初の決勝進出となったカナダ。スペインは強豪に違いないが、チームの「勢い」が大きな武器となるのもデ杯ならではといえる。(C)Getty Images

初の決勝進出となったカナダ。スペインは強豪に違いないが、チームの「勢い」が大きな武器となるのもデ杯ならではといえる。(C)Getty Images

 セルビアを破り勢いに乗る若きロシアを止めたのは、こちらも2人のエースのフル稼働により、快進撃を続けるカナダだ。
 
 今年1月に受けたヘルニアの手術から復帰し、シーズン後半に加速していたポスピシルが、ラウンドロビン突破の立役者。その彼がロシア戦で初の敗戦を喫した後には、若きエースのシャポバロフが奮起する。ハチャノフとのフルセットの熱戦を制すると、その20分後には、勝利を掛けたダブルスのコートに立つ。
 
 セットを分け合い迎えた第3セットは、高まる緊張感が両チームにブレークを許さず、突入したタイブレーク。そこでスタートダッシュに成功したのはロシアだが、29歳のポスピシルが巧みなダブルスの技量を披露し追い上げた。最後は、ポスピシルのサービスが死闘に終止符。その瞬間、シャポバロフのラケットと身体がコート上を舞い、歓喜の輪はベンチでもはぜる。今季のテニス界の話題をさらった躍進のカナダが、初のデビスカップ決勝へと駆け上がった。
 
 そのカナダと反対側のドローを勝ち上がって来たのは、地元の大声援を受け、エースのラファエル・ナダルが獅子奮迅の活躍を見せるスペインだ。

 ラウンドロビンで、チームの勝利が決まった後も「2位争いに関わる可能性があるから」とダブルスにも出るナダルの執念は、すさまじい。準々決勝のアルゼンチンでも、そして準決勝のイギリス戦でも、彼はシングルスで対戦相手を粉砕し、その足で決戦のダブルスのコートに立った。父親が急逝したバウティスタアグートが大会中にチームを去り、カレーニョブスタもケガに見舞われるなど日に日にスペインは戦力を削がれるが、そのたびにナダルの闘志は掻き立てられるようだった。

 2日続けて時計の針が日付を超える深夜の死闘のなか、彼は1ポイントごとに飛び跳ね、叫び、パートナーの背を叩き、アリーナの四方に拳を振り上げ観客の熱を煽る。英国戦のダブルス終盤で見せた、相手のドロップボレーを脅威の脚力ですくい上げ、返球をスマッシュで叩き込むプレーは鬼気迫る。英雄率いる無敵艦隊が、決勝の舞台へと漕ぎ着けた。
 
 2011年優勝国のスペインは、ナダルやフェリシアーノ・ロペスら当時のメンバーを擁し6度目のタイトルを狙う。対するカナダは新旧の力を融合し、初のデビスカップ獲得に焦点を定める。

 いずれの国が勝つにしても、生まれ変わったデビスカップの頂点に立つにふさわしい、初代チャンピオンが誕生する。

取材・文●内田暁
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