実際に2人は同じトレーナーに師事し、互いの姿をモチベーションとした。
杉田がトップ100の壁を破ったのは、西岡のそれと同時期の2016年。時に西岡、21歳。杉田は27歳である。杉田がATPツアー初優勝を手につかみ、キャリアハイにも至ったのは、それから約1年後だった。
その杉田が今、「心も身体も、テニスにうまく向き合えていない」と、苦しそうにつぶやく。
「心も身体も、行くぞという勢いが今の自分には足りていない。練習だと気持ちよくプレーできているし、トレーニングでもしっかり追い込めている。36位に行った2017年と比べて身体の状態がどうかと言ったら、僕は全然いけると思っているし、トレーナーや周りの人も、テニスとフィジカルは問題ないと正直に話してくれている」
「ただそれ以上に心の部分で、すごく迷いながら自信のない状態で試合をしている。それは、ブランクがかなり大きいですね」
常に戦いに身を置いてきた中で、一度戦線を離れ戻ってくると、どうしても周囲のスピードについていけない。その現状を杉田は、「一度止まった状態から、高速道路にいきなり突っ込んでいるようなもの」だと例えた。
猛スピードで走る車のレーンに割り込むには、「ものすごいアクセル」が求められ、そのためには「今までとは比べ物にならないエネルギーが必要」だと杉田は自覚する。
そのエネルギーを、どこから得られるのか――?
「自分自身のために頑張るというのは、凄く難しくなっている」と杉田は言う。
「何かを残すことができればと色々探したんですが、そこはすごく難しいですね。自分自身の限界を追うことに疲れているというか、どれだけ険しい道だったかは十分わかっているので。同じ道みたいに考えてしまうと、足踏みになる。違う道、違う生き方で行かなくてはいけない」
人生観とテニスキャリアを同義と捉える彼は、「今は、自分がこれまで歩いてきたテニスの道を残すことに専念した方が、すっきり前に進めるのかな」と言葉を絞り出した。
杉田が抱えるこの苦悩を、誰より感覚的に理解できるのは、この日ネットを挟み対峙した、西岡なのかもしれない。
杉田がトップ100の壁を破ったのは、西岡のそれと同時期の2016年。時に西岡、21歳。杉田は27歳である。杉田がATPツアー初優勝を手につかみ、キャリアハイにも至ったのは、それから約1年後だった。
その杉田が今、「心も身体も、テニスにうまく向き合えていない」と、苦しそうにつぶやく。
「心も身体も、行くぞという勢いが今の自分には足りていない。練習だと気持ちよくプレーできているし、トレーニングでもしっかり追い込めている。36位に行った2017年と比べて身体の状態がどうかと言ったら、僕は全然いけると思っているし、トレーナーや周りの人も、テニスとフィジカルは問題ないと正直に話してくれている」
「ただそれ以上に心の部分で、すごく迷いながら自信のない状態で試合をしている。それは、ブランクがかなり大きいですね」
常に戦いに身を置いてきた中で、一度戦線を離れ戻ってくると、どうしても周囲のスピードについていけない。その現状を杉田は、「一度止まった状態から、高速道路にいきなり突っ込んでいるようなもの」だと例えた。
猛スピードで走る車のレーンに割り込むには、「ものすごいアクセル」が求められ、そのためには「今までとは比べ物にならないエネルギーが必要」だと杉田は自覚する。
そのエネルギーを、どこから得られるのか――?
「自分自身のために頑張るというのは、凄く難しくなっている」と杉田は言う。
「何かを残すことができればと色々探したんですが、そこはすごく難しいですね。自分自身の限界を追うことに疲れているというか、どれだけ険しい道だったかは十分わかっているので。同じ道みたいに考えてしまうと、足踏みになる。違う道、違う生き方で行かなくてはいけない」
人生観とテニスキャリアを同義と捉える彼は、「今は、自分がこれまで歩いてきたテニスの道を残すことに専念した方が、すっきり前に進めるのかな」と言葉を絞り出した。
杉田が抱えるこの苦悩を、誰より感覚的に理解できるのは、この日ネットを挟み対峙した、西岡なのかもしれない。