自身の手で叶えた夢への篤実さが、土壇場で怯えや緊張を凌駕する。「この雰囲気に飲み込まれたくない」。センターコートに立ち最初に思ったのは、そんなことだった。
観客席から見下ろすアリーナは異次元の空間だったが、いざ自分が立ってみれば、テニスコートはテニスコートである。
「硬くはなったけれど、目の前のポイントにくらいついて、ファイトし続けた。あとはファミリーボックスを見たら、みんなが同じように戦ってくれていて。それもよく覚えています」
当時のコーチの竹内映二に原田夏希、さらには杉山愛とその母の芙紗子氏の顔もあった。
最終スコアは、2-6、4-6。
「必死でしたね。でもなんか楽しかったです。面白いですよね、簡単に負けたから心にも残っているんですが、楽しかった。そこから先につながる、すごく大きな試合だったと思います」
コートから持ち帰ったのは、「この舞台で戦いたい」という渇望と、「トップ選手とも戦える」という自信。足を踏み入れた時の“夢舞台”は、去る時には「居るべき場所」になっていた。
取材・文●内田暁
中村藍子/1983年12月28日生まれ。大阪府出身。右利き/左右両手打ち。シングルスとダブルスの両方で全グランドスラムの本戦出場。全豪オープンでは2006・07年と2年連で3回戦進出。06年ジャパンオープン準優勝。キャリアハイはシングルス世界47位(2007年8月6日付)・ダブルス同64位(08年3月3日付)。2012年に現役引退。
【画像】伊達公子がグランドスラムを目指すジュニアたちを指導するキャンプの様子
観客席から見下ろすアリーナは異次元の空間だったが、いざ自分が立ってみれば、テニスコートはテニスコートである。
「硬くはなったけれど、目の前のポイントにくらいついて、ファイトし続けた。あとはファミリーボックスを見たら、みんなが同じように戦ってくれていて。それもよく覚えています」
当時のコーチの竹内映二に原田夏希、さらには杉山愛とその母の芙紗子氏の顔もあった。
最終スコアは、2-6、4-6。
「必死でしたね。でもなんか楽しかったです。面白いですよね、簡単に負けたから心にも残っているんですが、楽しかった。そこから先につながる、すごく大きな試合だったと思います」
コートから持ち帰ったのは、「この舞台で戦いたい」という渇望と、「トップ選手とも戦える」という自信。足を踏み入れた時の“夢舞台”は、去る時には「居るべき場所」になっていた。
取材・文●内田暁
中村藍子/1983年12月28日生まれ。大阪府出身。右利き/左右両手打ち。シングルスとダブルスの両方で全グランドスラムの本戦出場。全豪オープンでは2006・07年と2年連で3回戦進出。06年ジャパンオープン準優勝。キャリアハイはシングルス世界47位(2007年8月6日付)・ダブルス同64位(08年3月3日付)。2012年に現役引退。
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