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国内テニス

【中村藍子/扉が開いた瞬間】全豪オープンのセンターコートから持ち帰った「渇望と自信」<SMASH>

内田暁

2023.01.01

17年前の体験を振り返る中村は「チャレンジなくして成功はない。チャレンジを恐れないでほしい」とジュニア世代に向けてエールを送る。写真提供:中村藍子

17年前の体験を振り返る中村は「チャレンジなくして成功はない。チャレンジを恐れないでほしい」とジュニア世代に向けてエールを送る。写真提供:中村藍子

 自身の手で叶えた夢への篤実さが、土壇場で怯えや緊張を凌駕する。「この雰囲気に飲み込まれたくない」。センターコートに立ち最初に思ったのは、そんなことだった。

 観客席から見下ろすアリーナは異次元の空間だったが、いざ自分が立ってみれば、テニスコートはテニスコートである。

「硬くはなったけれど、目の前のポイントにくらいついて、ファイトし続けた。あとはファミリーボックスを見たら、みんなが同じように戦ってくれていて。それもよく覚えています」

 当時のコーチの竹内映二に原田夏希、さらには杉山愛とその母の芙紗子氏の顔もあった。
 
 最終スコアは、2-6、4-6。

「必死でしたね。でもなんか楽しかったです。面白いですよね、簡単に負けたから心にも残っているんですが、楽しかった。そこから先につながる、すごく大きな試合だったと思います」

 コートから持ち帰ったのは、「この舞台で戦いたい」という渇望と、「トップ選手とも戦える」という自信。足を踏み入れた時の“夢舞台”は、去る時には「居るべき場所」になっていた。

取材・文●内田暁

中村藍子/1983年12月28日生まれ。大阪府出身。右利き/左右両手打ち。シングルスとダブルスの両方で全グランドスラムの本戦出場。全豪オープンでは2006・07年と2年連で3回戦進出。06年ジャパンオープン準優勝。キャリアハイはシングルス世界47位(2007年8月6日付)・ダブルス同64位(08年3月3日付)。2012年に現役引退。

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