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海外テニス

「トップ100内に8選手がランクイン!」 2019年イタリアテニス史上最大の躍進を導いた4年掛かりの育成法とは…

スマッシュ編集部

2019.12.02

21歳以下の上位選手で争う「ネクストジェンATPファイナルズ」に、主催者推薦で出場して優勝したシナーはまだ18歳。果たして新シーズンにはどんな活躍を見せるのか…。(C)GettyImages

21歳以下の上位選手で争う「ネクストジェンATPファイナルズ」に、主催者推薦で出場して優勝したシナーはまだ18歳。果たして新シーズンにはどんな活躍を見せるのか…。(C)GettyImages

 2016年には、18歳以上を対象としたプログラムがトスカーナ州ピサにあるティレニア・センター(協会施設)でスタート。選抜された参加者の中にはベレッティーニとソネゴらがいた。両選手を担当する同協会技術部門のコーチ、ウンベルト・リアンナ氏は、イタリアテニス専門チャンネル『SUPER TENNIS』WEB版のインタビューで、次のように語った。

「私はベレッティーニとソネゴのコーチではなく、彼らのコーチのコーチでもない。指導方針は選手たちのコーチが決定する。私はそこに参加して自身の考えを述べる。そして選手も交えた3者間でコミュニケーションを取っている。コーチがマン・ツー・マンで選手にかかりきりになるのはなかなか難しい。関わる人数がより多ければ助け合いが可能になるのだ」

 2019年シーズンのイタリア勢の飛躍は、4年目を迎えたこうした取り組みの成果であったようだ。
 イタリアテニス協会は、さらなる未来を見据えたジュニア育成にも取り組んでいる。テニス界の発展にはトップクラスの選手を継続的に排出することが不可欠だと考えるからだ。そのためにより多くの有望ジュニアがテニスを続けていくための支援を実践している。

 その取り組みが目指すのは、ジュニア選手が競技継続を断念する原因となる選手と家族の精神的、肉体的負担、そして何より家庭の経済的負担の軽減である。

 これまでの育成プログラムはティレニア・センターで実施されていたが、遠方からの参加者は移動に時間を費やさなければならなかった。それだけでなく、交通費、宿泊費などかなりの出費が伴う。選手の年齢層によっては、付き添いが必要なため、さらに出費が増大する。

 そこで、2世代先を担う15から17歳の育成体制を刷新。国内4カ所の既存テニススクールを強化センターに指定することで、対象選手は自宅に近いエリアで3年間の寮生活を送りながらプログラムに参加することが可能となった。

 また、18歳以上と同じく協会から派遣されたコーチが強化センター所属のコーチ陣らと連携。さらには、施設使用、コーチング、寮、移動や用具など、必要な費用のすべてを協会が負担する徹底ぶりだ。

 ネクストジェンを制した注目の大型新人シナーは、同選手を見出したリカルド・ピアッティ氏主宰のアカデミー所属のため参加していないが、近い将来、イタリア旋風を巻き起す選手がこうしたプログラムから誕生するかもしれない。

 そんなイタリアテニス界の背中を押すかのように、2021年から25年シーズンのATPファイナルズがイタリアのトリノで開催されることが決定。また、同国出身の元プロテニス選手 アンドレア・ガウデンツィ氏が、2020年からATP会長に就任することも決まっている。

 2020年シーズン開幕まであと1カ月。果たしてイタリア勢はどこまでその成長曲線を伸ばしていくのか。その戦いぶりに注目したい。

構成●スマッシュ編集部

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