加えて前述したように、大会期間中は連日の強風。全ての参戦選手にとって厳しい条件となったが、このタフコンディションが「自分に完璧を求めない」というシフィオンテクの試みの手助けとなる。
「全ての試合の前に、『とてもトリッキーな状況だし、誰が来ても強い選手ばかり。だから、素晴らしいテニスができると思ってはいけない』と自分に言い聞かせた」
結果、戦うごとに「集中し、良いプレーができるようになった」というシフィオンテクの、成長を証明する格好の場となったのが、決勝戦だ。ネットを挟み相対するのは、第2シードで世界4位のジェシカ・ペグラ。ユナイテッドカップで敗戦を喫し、彼女に「何がいけなかったのか?」と熟考を促すきっかけとなった好敵手である。
ペグラとの決勝戦でシフィオンテクが示したのは、精神面の充実に加え、今大会前に「集中的に練習してきた」という、もう一つの改善点である。それは、サービス。
サービスこそが先のペグラとの対戦で、シフィオンテクが最も苦しんだ側面だろう。それがカタールでの再戦時には、ペグラの武器を封じる役目を果たす。ファーストアタックで優位に立てば、ストローク戦の主導権は世界1位の掌中に。
「彼女がいかに素早く風に適応できるか、重いスピンをかけて正確にボールをコントロールできるかは驚きでしかない」
3-6、0-6で敗れたペグラは、驚嘆と称賛の言葉しか持たなかった。
優勝後の会見で、シフィオンテクは「今季の開幕を迎えた時、自分が不安に襲われたことに驚いた」と打ち明ける。
「昨年の成功を振り返り、急に怖くなった瞬間があった。だからオーストラリアの後は、ダリアと一緒に気持ちをリセットし、全てを背負いこむ必要はない、目の前のことに一つひとつ向き合っていこうと考えた」
実年齢より遥かに成熟した語り口の21歳は、そう言い軽く笑みを浮かべた。
彼女の不安の根源となった、昨年の37連勝。それでも理知的な世界1位は、その始まりの地であるドーハで軌道修正に成功し、正しき道を力強く歩みだした。
現地取材・文●内田暁
【PHOTO】シフィオンテクはじめ、全豪オープン2023で熱戦を繰り広げた女子選手たちの厳選写真!
「全ての試合の前に、『とてもトリッキーな状況だし、誰が来ても強い選手ばかり。だから、素晴らしいテニスができると思ってはいけない』と自分に言い聞かせた」
結果、戦うごとに「集中し、良いプレーができるようになった」というシフィオンテクの、成長を証明する格好の場となったのが、決勝戦だ。ネットを挟み相対するのは、第2シードで世界4位のジェシカ・ペグラ。ユナイテッドカップで敗戦を喫し、彼女に「何がいけなかったのか?」と熟考を促すきっかけとなった好敵手である。
ペグラとの決勝戦でシフィオンテクが示したのは、精神面の充実に加え、今大会前に「集中的に練習してきた」という、もう一つの改善点である。それは、サービス。
サービスこそが先のペグラとの対戦で、シフィオンテクが最も苦しんだ側面だろう。それがカタールでの再戦時には、ペグラの武器を封じる役目を果たす。ファーストアタックで優位に立てば、ストローク戦の主導権は世界1位の掌中に。
「彼女がいかに素早く風に適応できるか、重いスピンをかけて正確にボールをコントロールできるかは驚きでしかない」
3-6、0-6で敗れたペグラは、驚嘆と称賛の言葉しか持たなかった。
優勝後の会見で、シフィオンテクは「今季の開幕を迎えた時、自分が不安に襲われたことに驚いた」と打ち明ける。
「昨年の成功を振り返り、急に怖くなった瞬間があった。だからオーストラリアの後は、ダリアと一緒に気持ちをリセットし、全てを背負いこむ必要はない、目の前のことに一つひとつ向き合っていこうと考えた」
実年齢より遥かに成熟した語り口の21歳は、そう言い軽く笑みを浮かべた。
彼女の不安の根源となった、昨年の37連勝。それでも理知的な世界1位は、その始まりの地であるドーハで軌道修正に成功し、正しき道を力強く歩みだした。
現地取材・文●内田暁
【PHOTO】シフィオンテクはじめ、全豪オープン2023で熱戦を繰り広げた女子選手たちの厳選写真!