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海外テニス

「自分に完璧を求めない」女王シフィオンテクが年頭のつまずきから立ち直るために行なった心のリセット<SMASH>

内田暁

2023.02.22

本来の力を取り戻したシフィオンテク(右)は強かった。ペグラ(左)に3ゲームしか与えずカタールOPの頂点に立った。(C)Getty Images

本来の力を取り戻したシフィオンテク(右)は強かった。ペグラ(左)に3ゲームしか与えずカタールOPの頂点に立った。(C)Getty Images

 加えて前述したように、大会期間中は連日の強風。全ての参戦選手にとって厳しい条件となったが、このタフコンディションが「自分に完璧を求めない」というシフィオンテクの試みの手助けとなる。

「全ての試合の前に、『とてもトリッキーな状況だし、誰が来ても強い選手ばかり。だから、素晴らしいテニスができると思ってはいけない』と自分に言い聞かせた」

 結果、戦うごとに「集中し、良いプレーができるようになった」というシフィオンテクの、成長を証明する格好の場となったのが、決勝戦だ。ネットを挟み相対するのは、第2シードで世界4位のジェシカ・ペグラ。ユナイテッドカップで敗戦を喫し、彼女に「何がいけなかったのか?」と熟考を促すきっかけとなった好敵手である。

 ペグラとの決勝戦でシフィオンテクが示したのは、精神面の充実に加え、今大会前に「集中的に練習してきた」という、もう一つの改善点である。それは、サービス。

 サービスこそが先のペグラとの対戦で、シフィオンテクが最も苦しんだ側面だろう。それがカタールでの再戦時には、ペグラの武器を封じる役目を果たす。ファーストアタックで優位に立てば、ストローク戦の主導権は世界1位の掌中に。
 
「彼女がいかに素早く風に適応できるか、重いスピンをかけて正確にボールをコントロールできるかは驚きでしかない」

 3-6、0-6で敗れたペグラは、驚嘆と称賛の言葉しか持たなかった。

 優勝後の会見で、シフィオンテクは「今季の開幕を迎えた時、自分が不安に襲われたことに驚いた」と打ち明ける。

「昨年の成功を振り返り、急に怖くなった瞬間があった。だからオーストラリアの後は、ダリアと一緒に気持ちをリセットし、全てを背負いこむ必要はない、目の前のことに一つひとつ向き合っていこうと考えた」

 実年齢より遥かに成熟した語り口の21歳は、そう言い軽く笑みを浮かべた。

 彼女の不安の根源となった、昨年の37連勝。それでも理知的な世界1位は、その始まりの地であるドーハで軌道修正に成功し、正しき道を力強く歩みだした。

現地取材・文●内田暁

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