「あなたのサービスは、メディアから過小評価されていると感じませんか?」
自戒も込めてそう尋ねると、世界1位のイガ・シフィオンテクは小さく頷きながら笑みを浮かべ、「that's a good question(良い質問ね)」と含みある言い回しをした。
「過小評価されているとは言わないかな。単に私は、リバキナのようなタイプではないということ。サービスを入れて、そこからラリーでポイントを取るタイプだから。ただサービスは、常に改善したいと思っている点だし、実際に全豪オープン後に集中的に練習してきた」
その後に続ける「今日の試合では、とても心地よく打てた」の言葉を待つまでもなく、彼女のサービスが好調だったのは、明らかだった。
現在開催中の女子テニスツアー「カタール・オープン」(カタール・ドーハ/2月13日~18日/WTA500)の2回戦。ダニエラ・コリンズ相手に、6-0、6-1の完勝を手にした。僅か53分の攻防のなかで、与えたブレークポイントはなく、サービスでのポイント獲得率は72%を超える。リターン巧者に、まったくチャンスを与えなかった。
カタール・オープンはシフィオンテクにとり、今に至る快進撃の始まりの地だ。昨年の同大会優勝を皮切りに、6大会連続優勝、37連勝という驚異の戦績を刻む。それは世界1位の地位と自信の源泉ではあるが、1年後には、“守るべきポイント”へと姿を変えた。
ただ彼女は「ポイントを守るという考えた方はしたことがない」と明言する。
それ以上に今の彼女にとって重要なのは、全豪オープン4回戦で敗れた事実と、その原因究明。「オーストラリアでの教訓を生かさなくては」と思った彼女が、至った結論は「自分に期待しすぎない、全ての試合で完璧を求めない」ということ。
「昨シーズンの出来事は、在りえないことだった。私の頭の中を、ちょっとおかしくしてしまうほどに」
そう自嘲気味に笑う彼女が、全豪後に帰国し、練習に打ち込むなかでとりわけ力を入れたのが、サービスだった。
その練習内容を、詳細に明かすことはもちろんない。それでも彼女は、次のように“ヒント”をくれた。
「大会中の練習はあくまで調整で、技術的なことに取り組む時間はない。だからワルシャワでは、気になっていた幾つかのポイントに取り組んだ。技術的に大きく変えた訳ではなく、全体として最も重視したのは、良いリズムで打てるようになること。試合では、どのコースに打つかしか考えられないけれど、練習では自分の動きをチェックしながら打っていた」
その成果は、最初の試合で早くも発揮されたように見える。ただ長いシーズンを戦い抜くテニスでは、時々の結果に一喜一憂する訳にはいかないことを、彼女は誰よりも知っているのだろう。
「まだ結論付けるには早すぎる」と言う彼女は、チャーミングに笑い、こうも続けた。
「でも、こんな風にサービスできる試合がいくつか続けば、メディアの皆さんもいずれ、私のサービスにお墨付きを与えてくれるんじゃないかしら?」
現地取材・文●内田暁
【画像】全豪オープン2023で熱戦を繰り広げたシフィオンテクら女子選手たちの厳選写真!
自戒も込めてそう尋ねると、世界1位のイガ・シフィオンテクは小さく頷きながら笑みを浮かべ、「that's a good question(良い質問ね)」と含みある言い回しをした。
「過小評価されているとは言わないかな。単に私は、リバキナのようなタイプではないということ。サービスを入れて、そこからラリーでポイントを取るタイプだから。ただサービスは、常に改善したいと思っている点だし、実際に全豪オープン後に集中的に練習してきた」
その後に続ける「今日の試合では、とても心地よく打てた」の言葉を待つまでもなく、彼女のサービスが好調だったのは、明らかだった。
現在開催中の女子テニスツアー「カタール・オープン」(カタール・ドーハ/2月13日~18日/WTA500)の2回戦。ダニエラ・コリンズ相手に、6-0、6-1の完勝を手にした。僅か53分の攻防のなかで、与えたブレークポイントはなく、サービスでのポイント獲得率は72%を超える。リターン巧者に、まったくチャンスを与えなかった。
カタール・オープンはシフィオンテクにとり、今に至る快進撃の始まりの地だ。昨年の同大会優勝を皮切りに、6大会連続優勝、37連勝という驚異の戦績を刻む。それは世界1位の地位と自信の源泉ではあるが、1年後には、“守るべきポイント”へと姿を変えた。
ただ彼女は「ポイントを守るという考えた方はしたことがない」と明言する。
それ以上に今の彼女にとって重要なのは、全豪オープン4回戦で敗れた事実と、その原因究明。「オーストラリアでの教訓を生かさなくては」と思った彼女が、至った結論は「自分に期待しすぎない、全ての試合で完璧を求めない」ということ。
「昨シーズンの出来事は、在りえないことだった。私の頭の中を、ちょっとおかしくしてしまうほどに」
そう自嘲気味に笑う彼女が、全豪後に帰国し、練習に打ち込むなかでとりわけ力を入れたのが、サービスだった。
その練習内容を、詳細に明かすことはもちろんない。それでも彼女は、次のように“ヒント”をくれた。
「大会中の練習はあくまで調整で、技術的なことに取り組む時間はない。だからワルシャワでは、気になっていた幾つかのポイントに取り組んだ。技術的に大きく変えた訳ではなく、全体として最も重視したのは、良いリズムで打てるようになること。試合では、どのコースに打つかしか考えられないけれど、練習では自分の動きをチェックしながら打っていた」
その成果は、最初の試合で早くも発揮されたように見える。ただ長いシーズンを戦い抜くテニスでは、時々の結果に一喜一憂する訳にはいかないことを、彼女は誰よりも知っているのだろう。
「まだ結論付けるには早すぎる」と言う彼女は、チャーミングに笑い、こうも続けた。
「でも、こんな風にサービスできる試合がいくつか続けば、メディアの皆さんもいずれ、私のサービスにお墨付きを与えてくれるんじゃないかしら?」
現地取材・文●内田暁
【画像】全豪オープン2023で熱戦を繰り広げたシフィオンテクら女子選手たちの厳選写真!