そのような原点を踏まえた上で、彼はさらに言葉を紡いだ。
「僕はこれまで、幸せであることが一番大事だと思っていたんです。でもジャッキー(・リールドン)にサポートしてもらい、どういうふうに試練を受け入れていくのか、自分がどう決めていくかのレッスンを受けた。幸せっていうのはただの感情なので、通り過ぎていく。だから今は、自分の外で起きていく色んなことに対して、どれだけうまく、強く地面に足をつけて耐えられるか……その強さを自分に求めています」
「それが前の自分とはちょっと違うというか、成長したところかもしれないです……」。そう付け加えるとダニエルは、「へへっ」と照れた笑みをこぼした。
強い人間になることを目指し、敢えて1人でツアーを回る――その「決断」の背景には、自身の人格形成に大きな影響を及ぼした母親を、昨年末に失ったことも影響しているという。
「お母さんが亡くなった後は、テニスを続けられるのかなと不安になりました。特に今年1月にオーストラリアに行った時は、悲しさもあるけれど、試合になっても気持ちに火がつかなくて。『これから自分はどうなるんだろう』と、気持ち的に迷子になったので」
深い悲しみと迷いの中で、自分の内面と向き合った3カ月間。その末に、「自分の感情がすごく見えるようになった。何倍ものパワーを得られた」とも言った。
「そういう経験もあって、今は強い人間になることもそうだし、自分のもっと深いところにつながっていく行動をなるべくしていきたいと思っています。人に言われたことではなく、自分はどういうふうに次の一歩を進めたいのかを考え、正直にやっていきたいなと思っていて」
「それはやっぱり、テニスのプレーの仕方にも関わってくる。人間関係にしても、どういう人と接し、どういう人はちょっと切るのかとか、そういうところも含めてかな、と思います」
3月1日に行なわれた「メキシコ・オープン」(ATP500)の2回戦で、世界4位のキャスパー・ルードからつかみとった死闘の末の白星も、そのような内省的な探求の帰結だろう。
“強い選手”ではなく、「強い人間」を標榜するのだとダニエルは言う。
コート上の彼のプレーは、その答えを求める姿そのものだ。
現地取材・文●内田暁
【PHOTO】ダニエル太郎らが活躍したデビスカップ2023「日本対ポーランド」戦スナップ集!
「僕はこれまで、幸せであることが一番大事だと思っていたんです。でもジャッキー(・リールドン)にサポートしてもらい、どういうふうに試練を受け入れていくのか、自分がどう決めていくかのレッスンを受けた。幸せっていうのはただの感情なので、通り過ぎていく。だから今は、自分の外で起きていく色んなことに対して、どれだけうまく、強く地面に足をつけて耐えられるか……その強さを自分に求めています」
「それが前の自分とはちょっと違うというか、成長したところかもしれないです……」。そう付け加えるとダニエルは、「へへっ」と照れた笑みをこぼした。
強い人間になることを目指し、敢えて1人でツアーを回る――その「決断」の背景には、自身の人格形成に大きな影響を及ぼした母親を、昨年末に失ったことも影響しているという。
「お母さんが亡くなった後は、テニスを続けられるのかなと不安になりました。特に今年1月にオーストラリアに行った時は、悲しさもあるけれど、試合になっても気持ちに火がつかなくて。『これから自分はどうなるんだろう』と、気持ち的に迷子になったので」
深い悲しみと迷いの中で、自分の内面と向き合った3カ月間。その末に、「自分の感情がすごく見えるようになった。何倍ものパワーを得られた」とも言った。
「そういう経験もあって、今は強い人間になることもそうだし、自分のもっと深いところにつながっていく行動をなるべくしていきたいと思っています。人に言われたことではなく、自分はどういうふうに次の一歩を進めたいのかを考え、正直にやっていきたいなと思っていて」
「それはやっぱり、テニスのプレーの仕方にも関わってくる。人間関係にしても、どういう人と接し、どういう人はちょっと切るのかとか、そういうところも含めてかな、と思います」
3月1日に行なわれた「メキシコ・オープン」(ATP500)の2回戦で、世界4位のキャスパー・ルードからつかみとった死闘の末の白星も、そのような内省的な探求の帰結だろう。
“強い選手”ではなく、「強い人間」を標榜するのだとダニエルは言う。
コート上の彼のプレーは、その答えを求める姿そのものだ。
現地取材・文●内田暁
【PHOTO】ダニエル太郎らが活躍したデビスカップ2023「日本対ポーランド」戦スナップ集!