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海外テニス

初の四大大会予選で決勝に進んだ島袋将を支える“チーム”の存在。「自己投資した分は絶対戻ってくる」という信念<SMASH>

内田暁

2023.06.29

今年のウインブルドンでグランドスラム予選初出場を果たした島袋は、2回戦を逆転勝利し全身で喜びを表した。本戦まであと一つだ。(C)Getty Images

今年のウインブルドンでグランドスラム予選初出場を果たした島袋は、2回戦を逆転勝利し全身で喜びを表した。本戦まであと一つだ。(C)Getty Images

 トレーナーの大瀧もやはり、ナショナルチームで知り合った人脈だ。大瀧の治療院と島袋の家が近かったという、地縁もあった。大瀧の診療所に通う島袋が、デビスカップのサポートメンバーとしてチーム帯同した頃から、両者はより深く話すようになったという。

 大瀧がツアーにも帯同するようになったのは、昨年11月の神戸開催のATPチャレンジャーから。遠征に一緒に出れば、治療はもちろん、トレーニング等も見る。

 それら、技術修得と身体のメンテナンスに加え、島袋がプロになる以前から痛感していたのが、「フィジカル強化の重要性」だったという。

 そのためにナショナル入りした大学2年生の頃から、松田にトレーニングメニューを作ってもらうようになった。プロ転向年の2020年はコロナ禍のため試合機会は限られたが、「逆にトレーニングができて良かった」と、むしろ前向きに捉えている。

 プロ転向と同時に、これだけの経験豊富な一流スタッフを雇うことは、生臭い話をすれば金銭面では楽ではない。実際に島袋も、「見ての通りチームが多いので、やっぱり金銭的に出費も多いです」と苦笑いをこぼした。

「でも最初に、自己投資しないと。やっぱりケチケチしてても後から返ってこないし、逆に使った分は絶対戻ってくると思っている」
 
 そのような信念やプロ意識は、「それこそ(西岡)良仁くんや、内山(靖崇)先輩とかのアドバイスもあった」と明かした。

「プロ1年目はツアーを回る機会がなかったんですが、逆にトレーニングや練習など、良仁くんらプロの方と一緒にさせていただいたんです。場所はNTCだったり、外のコートのこともありました。その時に、本当にいろんな話や助言を聞かせていただけたのが大きくて。準備期間というか、プロに向けて何をやっていくべきか、どのようにステップアップするかを相談させていただけたのは、本当に大きかったです」

 そう語る島袋の姿は、確かに西岡が主催するジュニア育成大会“Yoshi's Cup”にも、解説者としてあった。そこで見聞した、西岡がジュニアたちに伝える“プロの心得”は、島袋自身が胸に刻んだ薫陶でもあっただろう。

 日本男子勢では、大学卒業後にグランドスラムに達する前例がほぼない中、島袋の選択や歩んだ道は、後進にとっての指標ともなるだろう。

 なお島袋はウインブルドン予選2回戦でも、地元期待の20歳、トミー・サミュエルに逆転勝ち。現地時間29日に、本戦を懸けて芝巧者のデニス・クドラに挑む。

現地取材・文●内田暁

【PHOTO】島袋将のジャックナイフ、ハイスピードカメラによる『30コマの超分解写真』
 
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