今年の全仏がグランドスラム予選デビューとなった坂詰姫野（同199位）は、今回の全米で初戦を突破し初勝利獲得。２回戦も快勝し、３回戦では５つのマッチポイントを手にするまで本戦に肉薄した。

　北米ハードコートシーズンに入った時は、昨年ITF10万ドルで準優勝していたために、そのポイントを守ることがどこかで頭にあったという。実際に序盤はなかなか結果が残せず、一時はランキングも200位圏外に落ちた。

　ただその最中にも、「試合で課題を見つけ、練習で修正しながら反省を次につなげてこられた」と言った。結果的には、「ウインブルドンから帰ってすぐに遠征に出たのは、正解だった」と振り返った。

　今大会での坂詰は、攻め急がず、打ち合いを恐れず、攻守のバランスを取りながら粘り強く戦う姿が印象的だった。ジュニア時代の、ベースラインから下がらず飛び跳ねるように打ち込む姿とはやや印象を異にする。

　その点に関して、坂詰は次のように自己分析した。
  「以前はもう、『攻撃は最大の防御』と思ってやっていたし、そういう風にも教わってきました。ただもっと前にさかのぼると、ずっとロブで拾って拾ってというテニスだったので、そのベースが今生きていると思います。やっぱりこの舞台に来ると、自分よりもパワーのある選手が多く、打ち勝つのは体格的にもすごく難しい。ここから勝っていくには、組み立てながら攻めるところは攻めるというテニスが必要だと感じました。私は小さい頃から走る練習メニューはたくさんこなしてきたので、左右にも前後にも走れるのが強みだと思います」

　今季、戦うステージが高くなったことで得た気付きと、その中で確立してきた自分のテニス。

　今回、届かなかったあと「１本」も、きっと次につながる。

取材・文●内田暁

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