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海外テニス

【東レPPO】大健闘の本玉真唯、女王シフィオンテクを苦しめたテニスに隠された覚悟の独り立ち<SMASH>

内田暁

2023.09.28

育ての親とも言うべき神尾米さんの下を離れ、自ら道を切り開く覚悟を決めた本玉の視界に映るものは…。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

育ての親とも言うべき神尾米さんの下を離れ、自ら道を切り開く覚悟を決めた本玉の視界に映るものは…。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

 実際に本玉は、神尾の言葉を、ある種の責任感として胸に刻んでいたようだ。

「どこに行っても、ヨネさんたちに恥をかかせないようにしなくてはいけない」

 そんな覚悟とともに向かった先は、奈良くるみのコーチを10年務めた原田夏希。中村藍子や土居美咲の帯同経験も持つ、日本トップクラスのツアーコーチである。さらにはフィジカル強化のため、国内外問わずあらゆる世代の指導経験を持つトレーナーの播磨哲と専属契約を結ぶ。目指すスタイルの実践のため、必要なパーツを彼女は徐々に獲得していった。

 新たな覚悟とプレースタイルを携えた本玉は、今回の東レパンパシフィックオープンで、まずは予選で白星を連ね本戦へ。本戦初戦では、「ずっと対戦したいと思っていた」という日本の第一人者、日比野菜緒にも勝利した。

 そして、2回戦――。2週間前に世界ランキング1位の席は降りたものの、1年半にわたり王座に座し続けた、22歳の若き女王シフィオンテクに挑む。
 
 第1セットでは先に2ブレーク先行し、最大で4-1までリードを広げた。

 第2セットは、逆に1-5とダウンし相手のサービスゲームまで追い込まれるも、目の前のポイントに集中し、目指すスタイルを貫いて5-5に追いついた。

 だがそこから、最後の一歩を詰め切れなかったのは、経験と精神面も含めた純然たる差ではあるだろう。最終スコアは、4-6、5-7。

「私がリードしても、しっかりラケットを振ってきて、ボールを置きにこない。本当にどんな時でも振っていく。そういう怖さがすごいあって。セカンドセットで私が追いついた時も、そこでボールを入れにくることなく、自分からポイントを取りにくる。そこが、やっぱり強いなと思いました」

 敗因を冷静に分析し、真摯に受けとめたその上で、自身の「攻めのリターン」の手応えを次のように語った。

「中に入って打っても、追いつかないと感じることが全然なかった。もっと入っていけると思ったし、同時に少し下がってしっかり打つなど、全てミックスした中で入っていくのはすごく有効に使える。ちゃんと打ったら、中に入っていても全然怖さは感じないです」……と。

 試合が終わり声援を背にコートを去る時、本玉は出口の手前で足を止めると、振り返り深く頭を下げた。

「私のプレーでたぶん会場も沸いていましたし、次は倒してやるぞ、という感じでした」

 本玉は理由を、そう語る。

 もしかしたらそのお辞儀には、テレビ解説ブースから彼女の姿を見守った、神尾への感謝も込められていたかもしれない。

取材・文●内田暁

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