WTAツアーの下部であるITFツアーでしっかりと勝ってきているのが、実力を付けてランキングを上げている証です。グランドスラムに出場するようになると、誰の目から見てもわかりやすいのですが、ITFツアーで勝っている段階では、強さや将来性がわかりにくいものです。

　その方向性を信じて進めるのは、正しいサポートがあるからでしょう。ジュニア期の１年は重要で、方向性を間違えたり故障してプレーできなかったら大きな痛手となります。だからこそ、個人ではなく、組織がシステムや仕組みを作り上げることが必要なのです。チェコやロシアなどは、流れにも敏感で、情勢をキャッチしたら、それに対するアクションも早い。日本も見習うべき点がたくさんあるのではないでしょうか。

　さて、2024年はどうなるでしょうか。3位のガウフは着実にランキングを上げてきましたが、まだ上位２名とはポイントが離れています。2人と比較すると戦術的な部分や攻撃力がまだ足りていないので、それがどこまでプラスされていくかで、更に上を狙えるようになるでしょう。
  　10代選手の中でも特に注目されているのが、16歳で57位のミラ・アンドレーワ（ロシア）です。すごくハングリーなファイターです。まだジュニアらしい部分が残っており、うまさという点はまだありませんが、しぶとさがあります。2023年全仏オープンで3回戦、ウインブルドンで4回戦に進出と言う結果を出していますが、その勢いが継続するのか。成長を見ていくと面白いでしょう。

　グランドスラム本戦にストレートインできる100位以内の10代選手は、ますます活躍が期待できます。100位にまで来たら、あとは自分自身の問題です。若さと勢いはありますから、場数を踏んで一般の中で戦えるテニスを作り上げていくことができれば、トップ20にいつ入っても不思議はありません。

文●伊達公子
撮影協力／株式会社SIXINCH.ジャパン

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