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【テニスギア講座】高価なナチュラルガットはいったい何がいいのか? シンセティックとの違いに迫る<SMASH>

松尾高司

2024.01.02

かつてプロがこぞって使用したナチュラルガットだが、現在ではフルナチュラルではなく、ポリ系に飛び性能を補充するため縦横ハイブリッドで使う選手が多い。(C)Getty Images

かつてプロがこぞって使用したナチュラルガットだが、現在ではフルナチュラルではなく、ポリ系に飛び性能を補充するため縦横ハイブリッドで使う選手が多い。(C)Getty Images

 ストリングがボールを弾き返すシステムが「伸縮」です。伸縮とは読んで字のごとく、伸びて縮むこと。

 ナチュラルガットの伸縮は、インパクトの力で伸びて、それが素早く元に戻ります。当たり前のように聞こえるかもしれませんが、シンセティックストリングは、伸びたのと同じ分だけ瞬時に戻ることができないのです。伸びることは伸びても、その戻りはやや遅い……。

 これが「天然素材の力」です。だからポリエステル系とは正反対に、ナチュラルガットは「よく飛ぶ」ストリングです。言い換えればパワーがある、スピードがあるということで、ラケットフレーム自体が大きな反発性能を持たなかった20年前くらいまでは、プロは皆ナチュラルガットを使うのが常でした。

 ストリングは消耗品ですが、その性能寿命を考えると、ナチュラルガットが最も長く、かなりの期間、伸縮性能は保たれます。シンセティックの張り替えは「3カ月に1度」と推奨されますが、ナチュラルガットは、切れさえしなければ1年でも使えるでしょう。となれば、ナチュラルガットの方がお得ということになりませんか?
 
 ナチュラルガットは、フラット系の優雅なスタイルに向きますが、近年では「ハイブリッド」張りに有効な素材として、見直されています。

 かつてロジャー・フェデラーがナチュラルガットからポリエステル系に乗り換える時、縦糸と横糸の両方がポリ系だと、ハードヒットにはいいが、タッチショットやボレーなどスイング幅の短いショットでは飛距離不足になると不満を持ちました。そこでどちらかをナチュラルガットにすることで、パワーを補うことにしたのです。

 ナチュラルガットを横糸に使ったり、縦糸に使ったり、試合によって変えてみたりしていたのが、最終的には「縦ナチュラル」に落ち着いたようで、錦織圭選手も同じような選択をしていると言われています。

 この2選手の共通点は、ゴリゴリのスピン打法ではなく、打球の推進力・スピードを武器にしているところです。自分のスタイルが彼らに似ていると感じる方は、「ナチュラルのハイブリッド」を試してみてはいかがでしょう?

文●松尾高司(KAI project)
※『スマッシュ』2022年5月号より抜粋・再編集

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