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海外テニス

全豪オープン出場選手を悩ますボールスピード!全米よりも2段階速いテニスコートの秘密<SMASH>

内田暁

2024.01.20

今回取材に応じたグリーンセットのCEO、ハビエル・サンチェス・ビカリオ氏(囲み写真)は元世界23位の選手で、妹は元1位のアランチャ・サンチェス。写真:内田暁、(C)Getty Images

今回取材に応じたグリーンセットのCEO、ハビエル・サンチェス・ビカリオ氏(囲み写真)は元世界23位の選手で、妹は元1位のアランチャ・サンチェス。写真:内田暁、(C)Getty Images

 前述したように、グリーンセットが全豪オープンのコートに採用されたのは2020年。実はこの年は、現在よりも遅めの設定だったという。

「ですが大会後、テニスオーストラリアから、もう少し速くして欲しいとの要望がありました。そこで翌年から速くしました」とサンチェス氏。

 確かに過去の記事を遡っても、2021年には多くの選手たちが、「速い」と口にしていた内容のものが出てくる。ちなみに“ミディアム・ファースト”は、5段階の速度指標のうち、“カテゴリー4”……すなわち上から2番目に速い。同じハードコートでも、全米オープンのそれは“ミディアム・スロー”で、カテゴリー2。すなわち全豪よりも2段階遅いことになる。

 この“ミディアム・ファースト”のサーフェスで、恩恵を受ける選手の特性や、有利なプレースタイルなどはあるのだろうか? その問いにサンチェス氏は、「サーブに関してはビッグサーバーが有利です。ただラリーになったら、ほぼ関係ないですね」と明言した。
 
 ではなぜ今大会で、「エースが取れない」との声が聞こえてくるのか?

「それはボールと天候のためです」とサンチェス氏は続けた。

「サーフェスは天候の影響を受けませんが、ボールは天候によって変わります。温かいと速く、曇って寒いと遅くなります」

 確かに今年の全豪オープンは、特に本戦が始まってから例年より気温が低く、日中でも20度前後の日が多い。加えて雨天で屋根が閉まれば、空調で極端に温度が下がるのも特徴だ。

 日々変化する状況への適応は苦労も多いだろうが、それら不確定要素をも乗り越え勝ち上がるからこそ、勝者は大いなる敬意を集めるのも、また事実。

 コート内外で種々の声はありながらも、前年優勝者のジョコビッチとアリーナ・サバレンカは順当に勝ち上がり、カルロス・アルカラスらも、苦しい戦いも切り抜けてきた。

 波乱含みの大会を制するのは、果たして誰か? いよいよ大会も、後半戦を迎える。

現地取材・文●内田暁

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